第2話 曇り空
「
昼休み。
「な・・なんだよ。いきなり」
「いや、どう思ってるか聞いてみたくて」
何だ・・こいつ・・いきなり。何を考えてるんだかよくわからない。
「んー・・あんまりいい感じではないかな」
「どういうふうに?」
「さつばつとしているというか、息苦しさを感じるというか」
「それでそれで」
「ネットとかひどく荒れたりしてるね」
「・・そうね。たしかに」
白鳥佐紀は憂鬱そうな表情で窓の外を見た。
「・・いやな感じの世の中ね」
「そうだな・・」
僕も窓の外を眺めた。外はやや曇り空。雨が降りそうな感じもする。
校庭では陸上部が数人トレーニングをしている。
「ふーん・・がんばってるわね」
「もうすぐ県大会があるみたいだからな」
どこからか吹奏楽の音が聞こえる。
僕は空を見上げた。
白鳥佐紀は手で長い黒髪を撫でながらため息をついていた。
(白鳥佐紀がこんな表情をするのはわりと珍しい・・)
「私、こう見えても結構敏感だから、人の争いとか悪意とかを見ると気持ちがわるくなったりするの」
「そうなの、まぁ僕もそんな感じだけどさ」
白鳥佐紀の意外な一面を見た感じだった。
んーでも以前クラスの女子が他校の不良達に絡まれていた時、白鳥佐紀は一人で立ち向かっていって大分ボロボロにされながらもその不良達を蹴り飛ばして倒したんだっけ・・。
僕が途中で加勢したからよかったのかもしれないが・・。
お陰で僕と白鳥佐紀はその不良達につけねらわれてるという・・。
僕も軽くため息をついた。
「何よ、陰気臭いわね・・」
(え?俺だけかよ・・)
「さーて、午後の授業が始まるか・・眠いんだけど」
(授業中寝るなよ)
僕はそう思いつつ数学の教科書を取り出した。
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