9月11日 公衆電話の日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日2017年9月11日は「公衆電話の日」である。
公衆電話の日は、1900年のこの日、日本初の自動公衆電話が、東京の新橋と上野駅前に設置された事を記念して制定された一日である。設置当時は「自動電話」と呼ばれていて、交換手を呼びだしてからお金を入れて相手に繋いでもらうものだった。現在のダイヤル式に変更されたのは1925年の事であり、それ以来「公衆電話」と呼ばれるようになった。
今の若い人は公衆電話を使った事がないかもしれない。昔は駅やコンビニ前に必ずと言っていいほど置いてあった公衆電話。入れたお金が減っていく緊張感、かと言って無駄に入れ過ぎてしまえば損をする為、ギリギリの小銭を入れながら話す感覚は久しく味わっていない。
公衆電話の衰退と同時に見なくなったのがテレフォンカードである。私の財布には、いまだに未使用のままのテレフォンカードが隠れている。何かの記念で貰ったまま、もったいないから使わずに置いておいたカードだ。気付けば、使う機会がなくなってしまった。
公衆電話最大の楽しみと言っていいのがピンクチラシである。今の時代からは想像もできないだろうが、当時、平成初期辺りだろうか、公共の場に設置してある公衆電話の電話ボックス内には、無許可で貼られた卑猥な単語盛りだくさんのチラシが大量に存在していた。そこに掲載されている電話番号にかければ、大人の交渉へと発展するといった仕組みである。
幼き私は、いつしか大人になったらそれに挑戦してみようと夢描いていた。だがどうだろう。気付けばピンクチラシどころか公衆電話さえも見ない時代が訪れていた。ああ、あの頃の公衆電話を返して欲しい。と言っても、今はネットの出現により、更に危険な世界へと簡単に繋がれるわけなのだが。
今日は公衆電話の日。特別な一日である。
我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。
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