8月20日 蚊の日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日2017年8月20日は「蚊の日」である。
蚊の日は、1897年のこの日、イギリスの細菌学者ロナルド・ロスが、羽斑蚊類の蚊の胃の中からマラリアの原虫を発見した事に起因して制定された一日である。
マラリアとはこのマラリア原虫の感染によって起こる熱病であり、日本国内では今までマラリアの流行は無いものの、熱帯や亜熱帯地域で年間3億人近くの患者が発生しており、約50万人以上が死亡している恐ろしい病気である。
日本国内ではマラリアは流行していないと言ったが、蚊によるデング熱が流行したのは記憶に新しい。我々の身近に潜み、ゴキブリほどの嫌悪感を抱かないまでも蚊と言う虫は非常に危険な存在なのである。
よく血を吸うのはメスだけであると言われる蚊であるが、ではオスはなにを食べているのかと言うと、物の樹液や蜜などを吸って生きている。さらに血を吸うのは産卵期のメスだけである。
蚊は卵から2,3日で孵化してボウフラと呼ばれる幼虫になる。ボウフラとして一週間程経つとサナギになり、更に三日ほどで成虫へと変わる。成虫になってからの寿命はおよそ一か月。思ったよりも長いと感じるのは私だけだろうか。
どこからともなく飛んでくる蚊ではあるが、実は生まれた場所から半径15m程しか行動範囲を広げないと言われている。自宅に頻繁に蚊が出る家庭は、近くに産卵に適した地があると考え対策する事をおすすめする。
蚊に刺されてやっかいなのは伝染病もそうだが、やはり痒みだろう。実はこの痒みを抑える方法がある。
どう言う方法なのかと言うと、蚊に吸われていると気付いても、潰したり追い払ったりせずにそのまま吸い終わるのを待ってみると言った方法だ。すると、痒みを発症する唾液を血を吸い終わった後についでに吸い取ってくれるそうだ。外で吸われると無性に痒く感じるのは、中途半端なところで体を動かし蚊が離れてしまうからなのかもしれない。
とは言っても、目の前で血が吸われていれば黙って見ているのも釈然としない。そこでだ。もしそんな場面に遭遇したらとびきりの美少女がナース服を着て注射をしてくれている場面を想像してみよう。
「痛くないですからねー。すぐ終わりますからねー」
そんな事を言いながら血を吸う看護婦。うむ、たまらない。
丁度腕を吸われたので先程試してみた所、私はその蚊が愛おしく見えてしまい腕に力を入れ、口が抜けない様に拘束してしまった。
なるほど、こんな妄想をしているから私は現実社会の蚊帳の外にいるわけだ。
今日は蚊の日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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