8月4日 箸の日
やあやあ諸君。
私の名は塚本。塚本ジュリエッタと申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日2017年8月4日は「箸の日」である。
橋の日は……、おっと、誤変換。しかしながら今日は橋の日でもあるからあながち間違いでもない。
箸の日は「箸を正しく使おう」という民俗学者の提唱で、わりばし組合が1975年に制定した一日である。言わずもがな84《はし》の語呂合わせであり、前日はさみの日と同様東京・千代田区の日枝神社では、神前に長さ1mの大きな箸を供え、古い箸を焼いて供養する箸供養祭が行われる。
諸君らは箸を正しく使えているだろうか。子供の頃に誤った使い方をしていると、大人になってからもなかなか直すことができず、周囲の目が気になるところである。
実際に統計を取ってみた所、正しく箸を使えている人間の割合は40~50代でも3割台であり、更には年々その数も減少傾向にあると言う。
箸と言えば日本が発祥であり、国内でしか使われていないイメージが強いだろうが、実は中国、シンガポール、ベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、モンゴル、朝鮮など各国で使われており、また中華、和食の浸透により欧米でも使える人が増えている。
フォークやスプーンと比べ、ただ2対の棒というあまりにシンプルな形状をした箸。この箸が今、意外なところで活躍をしている。それは、スプーンのすくう、フォークの刺すが難しい無重力状態、宇宙である。
宇宙飛行士達は箸の挟むという使い方に注目し、実際に宇宙でカレーや、紅茶などを挟んで食している。
それを聞くと、いずれは世界中の人が箸を使う時代が来るのかもしれない。そんな気がしてくるものだ。来たるべきその時までに、異国の人々に正しい使い方を教えられるよう、今のうちに私も箸の正しい持ち方に矯正しておこうと心から思った。
今日は箸の日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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