7月23日 米騒動の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、本日2017年7月23日は「米騒動の日」である。


 米騒動の日は1918年のこの日、富山県魚津の漁家の主婦たちが米の県外移出を阻止し、その動きが全国に広まった事が由来する一日である。

 原因としては米の生産が需要に追い付かなかった事による価格高騰。当時の民本主義の普及による反政府といった風潮の煽りが挙げられる。

 富山での暴動が報道されると8月の10日には名古屋と京都でも大騒動が巻き起こった。警察だけでは対応できず、軍隊まで投入され、30名の死者と多数の負傷者を出しこの騒動は9月の17日に終結を見せる。


 日本人の主食、米。

 人間食べずして生きてはいけない。飽食のこの時代にはあまりイメージしずらいが、己の食い扶持を守ろうと誰もが必死であった為引き起こされた事件である。


 太陽がどこにいても照り付けるように、どこへ行っても暮らしていけるといった意味で『天道様と米の飯はどこへも付いて回る』ということわざがある。

 ところが、この様に米の供給が完全に需要を下回ってしまった際には、千石万石も米五合。どれだけ裕福であろうと一日に食す米の量は誰でも同じであるのだから、分け合う気持ちが大切だと実感させる事件である。




 今日は米騒動の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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