6月14日 中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合結成

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 女性諸君。いまでは男女平等が掲げられ、国会でもなんでも、女性が活躍できない場はほとんど無くなってきたと思わないだろうか? 昔の様に亭主関白では嫁も見つからず、尻に引かれる惨めな旦那が増えてもいるが、それは一時代の事であり、そしてやはり男尊女卑の時代には、そこに異を唱える者たちがいた。本日、2017年6月14日は「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合結成」である。


 中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合は、1970年代に実際に活動していた女性解放運動を趣旨とする団体である。榎美沙子を代表に掲げ、♀印のついたピンク色のヘルメットや過激な活動内容でマスメディアに取り上げられ一世を風靡した。


 中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合が結成したのは1972年の6月14日の事であった。当時の日本では経口避妊薬、つまりはピルが規制されており、さらには医薬品としても販売が許されていなかった。これを女性への抑圧と見て、デモ行為を主体とし結成されたのである。


 1974年には下部組織『女を泣き寝入りさせない会』を結成。こちらは妻に訴えられた夫の職場や、女性を軽視している団体の本部へと大人数で乗り込み、つるし上げをする事を目的とした団体である。


 時にはドラマやテレビに出たりと、色々と世間を賑わせた中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合であるが、当時のピルは副作用が強く、また性病の蔓延を懸念し、結局ピルに対しての緩和に繋がる事は無かった。


 その後に代表、榎美沙子は『日本女性党』を結党する。政界への進出だ。

 「内閣はすべて女性とする」「公務員はすべて女性とし、男性は臨時職員かアルバイトとする」と、女尊男卑または男性差別的な過激な政策を掲げる。

 そして1977年、第11回参議院選挙に地方区と全国区に10名の身内を出馬し、結果全員が落選した。


 落選後、榎美佐子の旦那は、「これで目が覚めただろう。選挙に出たので妻には莫大な借金がある。しっかり働かせて全額返済させる」と語り、美佐子本人は「以後、夫に尽くします」と家庭に入った。借金完済後は夫に家を追い出され、1983年に協議離婚をしている。


 今現在、経口避妊薬は誰でも簡単に買える様になった。アメリカでは1200万人の女性が服用し、イギリスでは16-49歳の女性の1/3が内服している。日本でも飲んでいる女性は多いだろう。

 それが中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合の功績であるかどうかは定かではない。定かではないが、それでも確かに彼女らは戦っていたのだ。規制でも、もちろん男性らと戦っていたわけでもない。では、相手は誰だったのか。言うならばそれは時代だろう。彼女らは時代と戦っていたのだ。


 今、世では自爆をしてでも世界を変えたいと思っている人がいる。自分の子供の命を使ってでも世界を変えたいと思っている人がいる。

 彼らの戦いが後世でどう綴られていくのかは、今の時代を生きる我々が知りえる事は出来ないものなのか。




 今日は中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合結成、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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