6月10日 時の記念日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
容姿、家庭、才能。人間は生まれながらに平等ではないが、それでも唯一の公平性を挙げるならば、やはり時間だろう。本日、2017年6月10日は『時の記念日』である。
時の記念日は、1920年に東京天文台と生活改善同盟会が「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と言った目的で制定された一日である。
なぜ本日6月10日に決まったのかと言うと、天智天皇の時代に日本で初めて設置した水時計が時を刻み金を鳴らした事に由来する。
だが、これが日本初の時計だったかと言うとそうとも言い切れない。なぜなら、水を流し、水面の高さの変化で夜も時刻が図れる水時計が活躍する以前から、太陽によってできる影で時刻を計る日時計が存在していたからだ。
昔と違い、今は電波時計、あるいは自動で時刻を合わせてくれるスマートフォンのおかげで、手間いらずで正確な時刻を知れるようになった。時の記念日には、ずれた時計を直す為、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」から40kHzの電波で日本の標準時間を全国に発信している日でもある。
時間をきちんと守ろうと制定された一日であるが、時間にルーズな私には、実際時間なんて概念がない方が生活が豊かになるとすら思えてしまう。
例えば仕事。毎日決まった時刻に出勤していると、だれでも億劫になってきてしまうのではないだろうか。これが自分の好きな時に出勤できるようになったら。と、考えれば、どうだろう。時刻なんてない方がいいような気がしてこないだろうか。
さらに言えば時間さえなければこの小説の
きっと365話に満たなくなるだろうな。
時間は大切。有限だからこそ人は頑張れるのかもしれない。
今日は時の記念日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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