6月8日 成層圏発見の日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日、2017年6月8日『成層圏発見の日』である。
成層圏発見の日は1902年のこの日、フランスの気象学者テスラン・ド・ポールが成層圏を発見した事を記念し制定された一日である。
成層圏とは、大気圏の一種である。
この地球上には地上から約100km上空までは空気が存在する。それ以上はと言うと、真空状態、つまりは宇宙と呼ばれる空間に達する。
大気圏は大まかに五つに別れており、高度によってその名称が異なる。地球の外側から順に挙げていくと、外気圏、熱圏、中間圏、成層圏、そして今我々が生活している対流圏の五つである。
成層圏は地上から12kmから50kmくらいまでの高度を指す。下方の気温は-70度前後、上方は-15度から0度前後。ジェット機が飛んでいる高度が大体この成層圏にあたり、宇宙服を着てこの成層圏からスカイダイビングをした強者もいる。
ところで、諸君らはヘリウムの入った風船を手放してしまった経験はないだろうか。当然ながら抑えを失った風船は上昇し続け、いずれは手の届かぬ天高くまで昇ってしまう。この風船が最後にどんな結末を迎えるのかと言うと、成層圏までたどり着いた風船は無数の破片となりバラバラに飛び散るそうだ。その後は地球の重力に引かれ、また地上めがけて落ちてくる。
もし諸君らの頭の上に突然ゴムのかけらが落ちてきたとしたら、それは束の間の宇宙旅行に出かけていた風船のなれの果てなのかもしれない。
今日は成層圏発見の日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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