5月22日 東京スカイツリー開業

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 日本一高い建物は東京都墨田区にある電波塔である。建設費は約400億円。総事業費にかかった費用は約650億円。本日、2017年5月22日は『東京スカイツリー開業』である。


 東京スカイツリーが開業したのは2012年の事だった。諸君らは東京スカイツリーに訪れたことがあるだろうか。私は上った事は無いものの、車で首都高を走る時によくその姿を目にしている。やはり634mという高さは、遠く離れていようとも突出して目立つ。ついこの間まで建設していたと思ったのに、もう開業してから5年も経つと言うのだから、時の流れる速さを実感する一方である。


 スカイツリーが何のために建てられたのかと言うと、NHKと民放5社の電波塔としてと言うのが第一の目的である。つまりは、あそこからTVの電波が垂れ流されているわけだ。

 スカイツリーが出来るまで、その役目を担っていた東京タワーは、現在ラジオのFM放送を発信し、スカイツリーにトラブルがあった際、すぐさま代わりに立てる様、予備役として今なお活躍している。


 私の様な建設業の知識がなにもない人間から見れば、風で折れる事は無いのかとか、自身でぱったりと倒れてしまわないのかと、今一スカイツリーの安全性に文句を付けたくなるのだが、あれだけ揺れた東日本大震災でも問題が無かったのだから耐震制度は問題ないのだろう。


 人類は文明を発達させると共に、更に大きく、または小さく、早く、または遅く、そして高くを目指してきた。いつかは宇宙にまで到達し、エレベーターで宇宙旅行が楽しめるような建物が出来るかもしれない。あるいはマリアナ海溝の深海魚を眺めながらディナーができるレストランが出来るかもしれない。

 夢物語だと思うだろうか。だが実際、アクアラインなど今現在でも海の上を走る事が出来る技術がすでにあるのである。建設業の発展はこれからも人類の夢を叶えていく。




 今日はスカイツリー開業、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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