4月25日 ギロチンの日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 ギロチン。大人になるにつれそんな響きは聞かなくなった。私の思い出では、主に小学生の頃に良く聞いたこの単語。何も知らぬ子どもと言うのは本当に残酷なものである。実在する処刑道具、ギロチン。本日、2017年4月25日は『ギロチンの日』である。


 ギロチンが初めて実用化されたのは1792年のこの日だった。当時はフランス革命後。その為恐慌政治に反発する人が絶えず、毎日何百人もの市民が処刑されていた。そこで、内科医で国民議会議員だったジョゼフ・ギヨタンと言う人物が、受刑者に無駄な苦痛を与えない処刑を提案し、考案されたのがギロチンである。ギロチンの名前の由来は彼のギヨタンからである。


 ギロチンとは人間の首をはねる恐ろしい処刑道具であるが、それにより刑を受けたなら絶命はまず避けられないだろう。だが、即死するかと言えばそれはわからない。長い歴史の中、人間から首を切り離しても、ある程度の行動を起こした記録が何件もあるのだ。


 例えば、戦時中に部下と上官が敵に捕まり、処刑される直前、上官が首を斬られた後、首の無い状態で走り抜けた部下の数だけ解放してほしいと懇願したところ、そんな事出来るわけないと敵側はこれを受け、首を斬られた上官が見事部下全員の前を走り抜けた話や、ギロチンの受刑者にまばたきでイエスかノーかを答えさせ、首を切った後に二回の質問に答えさせた等、ほんの短い間ではあるが、人間の首と体は離れても生きている時間があるのだ。


 だが一つ疑問が残る。上二つの例を取ると、先に挙げた話では首と体が離れてから体の方を動かしているのに対し、続く話では刑の後に瞬き、つまりは首の方を動かしているのである。

 まさか首と体が別れた後にリモコンの様に頭から赤外線やBluetoothを飛ばして体を操っているわけでもあるまい。即死しないと言う話はわからんでもないが、それならば一体どちらが真実なのか。気になる諸君らはぜひ試してみては如何だろうか。勿論、チャンスは一度キリだが。




 今日はギロチンの日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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