4月21日 ゲームボーイが発売された日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 諸君らは電車などで時間を潰す際にゲームはするだろうか。今はスマホで手軽にゲームが出来るようになった。そのスマホが普及する前は、よく集団でPSPやDSをやる学生を見かけたものだが、携帯ゲームの歴史はここから始まった。本日、2017年4月21日は『ゲームボーイが発売された日』である。


 任天堂よりゲームボーイが発売されたのは1989年の事だった。値段は12,500円。ファミコンでヒットを飛ばした任天堂は、ゲームボーイ開発時にすでにスーパーファミコンの開発を進めており、今更モノクロで売れるのかと懸念があったが、最終的に423万本の大ヒットを納める事になる。


 任天堂の強みと言えばソフトの強さが挙げられる。ゲーム、大乱闘スマッシュブラザーズに登場するキャラクターを見て貰えばわかると思うが、誰もが知っているようなキャラクターが集結しているのである。1989年にはスーパーマリオランド、社会現象にもなったテトリスなどの25タイトルを発売した。


 これに対抗したのはSEGAより発売されたゲームギア。なんとこの時代に別売りチューナーでテレビも見られる上に、こちらはカラー液晶を搭載していた。さらにNECよりPCエンジンGTが発売される。ゲームギア以上の液晶と、従来のPCエンジンソフトがそのまま遊べると言うハイスペック機である。だがそれぞれ電池持ちの悪さと値段の高さ、なにより任天堂のブランド力によりシェアを奪還することは出来なかった。


 といっても発売から7年も経つとゾクゾクと新ハードが現れる。任天堂もシェアを奪われない様に新携帯ハードを開発し、ゲームボーイの時代は終わりを迎えると誰もが思っていた。そこにあのゲームが現れる。

 1996年2月、『ポケットモンスター赤・緑』発売。現在も新シリーズがヒットを飛ばす人気シリーズの第一作である。ゲームフリークが6年の歳月をかけ発売したこのタイトル。初週の売り上げはその歳月に見合わないものだったが、RPGでありながらモンスターの育成、友達通しの通信対戦、モンスターの交換が面白いと、ネズミが主人公だけにセルフマルチ講現象が起き、1996年に160万本、1997年に400万本、1998年に300万本と、全てのハードを含めて3年間ソフト売り上げ一位を獲得した。


 当然ながらそれに比例しゲームボーイの売り上げも伸びる。そこで任天堂は電池持ちを改善、より小型にし、値段も6,800円に抑えた後継、ゲームボーイポケットを1996年の7月に発売。初代ゲームボーイの魂はここで次へと受け継がれた。


 その後もゲームボーイライト、ゲームボーイSP、ゲームボーイアドバンスと進化を続けていったゲームボーイ。現在はninntenndo-3DS と、その名前にゲームボーイが入らなくなったが、これはDSと同時にゲームボーイの後継を開発していた為である。ところが、DSのヒットにより、ゲームボーイの歴史に幕を閉じたわけだ。


 それでも、現在もゲームボーイから受け継がれた物は多く残っている。今ならネットで探せば中古で安価で手に入るゲームボーイ。たまには童心に戻り、あの頃の懐かしいソフトをプレイしてみては如何だろうか。




 今日はゲームボーイが発売された日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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