4月10日 女性の日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
労働省が1949年に制定した婦人の日。その後1998年に名称が変更された。本日、2017年4月10日は『女性の日』である。
――『女性の日』であるが、今日はそれよりさらに大切な記念日がある。元旦から始まったこの小説。ついにこの日を迎える事になった。本日、2017年4月10日は『記念すべき100話目』である。
100話。ここまで長いようで短かった。こうして一つの区切りを付けられたのも読んでくれている諸君らのおかげである。といっても、目標の365話完結まであと265話もあるのだ。冷静になり少しばかり考えたらまだ折り返し地点にも到達していなかった。正直そこまで続ける自信は微塵もない。
と言ってもだ。記念すべき100話目であるのだから、原点に返り今日は終わる事について考えようと思う。原点とは、毎日私が口を酸っぱくして繰り返している今日と言う日の話である。繰り返しではなく螺旋の中に我々は生きていると言う話である。
諸君らは、自分に残された時間が残りどれだけあるかを考えたことはあるだろうか。繰り返される日々には必ず終わりが訪れる。どれだけの名声を持とうが、地位に立とうが、金を蓄えようがそれは変わらない。
医療の発達により平均寿命は伸び続けている。2015年、日本人男性の平均寿命は約80歳、女性は約87歳であったそうだ。世界でも長寿国として知られる日本ではあるが、仮に諸君らの寿命を間を取った84歳と仮定しよう。
諸君らが20歳であるならば、残された日数は64年間である。つまりはあと23360日の猶予がある。もし四年に一度海に遊びに行くのだとしたら、あと16回しか海を見る機会がない計算になる。
諸君らが30歳であるならば、残された日数は54年間である。つまりはあと19710日の猶予がある。もし二年に一度実家に帰るのだとしたら、両親に会えるのはあと27回しかない計算になる。
諸君らが40歳であるならば、残された日数は44年間である。つまりはあと16060日の猶予がある。もし一年に一度旅行に行くのだとしたら、それが楽しめる機会はあと
44回しかない計算になる。
諸君らが50歳であるならば、残された日数は34年間である。つまりはあと12410日の猶予がある。もし半年に一度妻や夫にプレゼントをするのだとしたら、そのチャンスはあと68回しかない計算になる。
諸君らが60歳であるならば、残された日数は24年間である。つまりはあと8760日の猶予がある。もし3ヶ月に一度贅沢をして外食をするのだとしたら、その食事が楽しめるのはあと96回しかない計算になる。
諸君らが70歳であるならば、残された日数は14年間である。つまりはあと5110日の猶予がある。もし数年に一度しか孫の顔を見れなかったとしたら……
人生はいつ終わるかわからない。いつまで続くかわからない。そのせいで、気づけばいつまでも続いていくと錯覚しがちである。が、当然のごとく人生は有限だ。我々は円環の上ではなく、螺旋の上を歩いているのだから。
ならばどうすべきか。簡単である。一日一日を大切に過ごす事だ。我々にできるのはその程度の事であり、それが最大限の事なのだ。その為に、先人らが残した記念日を知る。出来事を知る。それを今日へと活かしていく。
諸君、今日と言う日に祝福を。
今日は記念すべき100話目、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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