4月9日  小学校で片仮名より先に平仮名を学習することが決定した日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 日本語と言うのは、平仮名、片仮名、漢字の三種類からなる非常に難しい言語である。日本人が英語を習得するよりも、アメリカ人が日本語を習得する方が時間がかかると言われている。だが、私はまるで英語を喋れないから不思議なものだ。本日、2017年4月9日は『小学校で片仮名より先に平仮名を学習することが決定した日』である。


 小学校で片仮名より先に平仮名を学習することが決定されたのは1955年の事であった。

 先ほど上げた漢字、平仮名、片仮名の内、どれが一番最初にできたのかと言えば、それは漢字である。中国から入ってきた漢文を、日本語でも読めるようにしようと平安時代に生まれた補助記号が片仮名であり、漢字の一部を使って作られている。平仮名が作られたのはそれからわずか後であり、こちらは漢字全体を略して作られた。

 簡単に言えば、もとになる漢字を訳す為に片仮名が作られ、さらにそれを書きやすく崩したのが平仮名と言えよう。英語の筆記体のようなものだ。


 諸君らは日本語と言う物をどれだけ使いこなしているだろうか。カクヨムを利用する人の多くは、読むだけでなく小説を書く、あるいは書いてみたいと思っている人が大半だと思われるが、その際はやはり多くの言葉を知っている方が有利である。なにせ表現力が強まるし、場面ごとに使える言葉の選択肢が増えるからである。

 だがしかし、日本語は例えるなら海であり、我々はそこに住まう一匹の魚でしかない。広辞苑など、大型の辞書には約23万語の言葉が掲載されており、さらには今現在も増え続けている。


 日常会話では、小学生レベルの言語能力があれば一生困る事は無い。だが、私も含め小説を書き連ねる事を楽しみたいのであれば、より深く日本語を知っておいて損はない。でなければ、この様にありきたりな言葉でしか物語を締めくくれなくなってしまうだろう。




 今日は小学校で片仮名より先に平仮名を学習することが決定した日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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