4月3日  趣味の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 人生に必要なものは生活と仕事。人は最低限それだけで生きていく事は可能であるが、そこに趣味を加えるとよりいっそう豊かになる。本日年4月3日は『趣味の日』である。


 趣味の日は木世出版社えいしゅっぱんしゃの関連会社、サイドリバーが43《しゅみ》の語呂合わせの元制定した一日である。この世には様々な楽しみが溢れている。私は広く浅く、今までに様々な趣味を嗜んできた。今まさに趣味を探そうと思っている諸君らの為に、今日はその一部分を紹介しようと思う。


 その一 ギャンブル

 私が初めてギャンブルに手を出したのは地元のパチンコ屋であった。店に入るととてつもない音に驚いたものだが、友達に言われるがまま千円札を入れ、たまたまそれで当たってしまった時にはすでに店内の騒音は気にならなくなっていた。初めての勝利に浮かれ、その後10年間でその勝ち分の数百倍もの金を失ってしまった。

 競馬、麻雀にも手を出すがまだそちらの方が健全であった。誰でも気軽にいつでも足を運べるパチンコ屋ではあるが、悪い事は言わない。パチンコ玉は鉄で出来ているが、お金を失うと書き、鉄と読む。やるなら他の趣味にした方がよかろう。


 その二 熱帯魚

 熱帯魚。これはいい趣味であった。ある日水槽を傷つけ、水が浸水してしまうまで私は熱帯魚の前で1時間も2時間も過ごしていた。自室で飼った魚はグッピー、ネオンテトラから、エンドリケリー、シルバーアロワナ、アリゲーターガーと様々であったが、何を飼おうと私にはどうでもよかった。家にいる間中、寝るときも聞こえてくる水の流れる音が心地よかったのである。とてつもなく癒されるのである。恐らく私はバケツに水を張り浄化用のフィルターを回しているだけで満足してしまうだろう。費用も最初に一式さえ揃えてしまえばさほどかからない。水を変える手間はなかなか骨が折れたが。


 その三 カクヨム

 この小説を読んでいる諸君らには今更説明するまでもないが、先に挙げたギャンブルや熱帯魚と比べ、こちらの趣味には一切金がかからない。非常に経済的な趣味である。また、読むだけではなく書く事すらできる。運が良ければ感想を貰う事も可能である。今一番私がお勧めする趣味こそこのカクヨムだ。

 だが、そんなカクヨムにも一つのデメリットがある。普通に利用する分には申し分ないのだが、ふらっと軽い気持ちで毎日更新の小説なんかを投稿した暁には、後に大いに公開する事があるという事を肝に銘じておいてほしい。え? そんな事しないって? ふん、賢明だな。その言葉を忘れなければ、趣味に睡眠時間を取られることも無いだろう。楽しいけどな。




 今日は趣味の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る