4月2日  国際こどもの本の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 スマホやパソコンの普及により、本を読まない子供が増えている。それにより幼いころからデジタル機器に触れ、大人になった暁にはそれらを使いこなせるようになっているというのは一つの利点ではあるのだが、一方本を読ませると、想像力が豊かになると言う。ならば、スマホやパソコンで小説の読めるカクヨムは最強ではないか。本日年4月2日は『国際こどもの本の日』である。


 国際こどもの本の日は1966年、国際児童図書評議会の創始者『イエラ・レップマン』の提案により制定された一日である。なぜそれがこの4月2日に選ばれたのか。それは今日がデンマークの童話作家、『ハンス・クリスチャン・アンデルセン』の誕生日であるからだ。


 アンデルセンと聞けばどこかで聞いたような名だと思う諸君らが多いのではないだろうか。だが、彼の作品を挙げろと言われるとどうだろう。諸君らは思いつくだろうか?

 親指姫や人魚姫、マッチ売りの少女にみにくいアヒルの子など、誰もが知っている童話を数々と生み出した。また、「児童文学のノーベル賞」とも言われる国際アンデルセン賞なるものまで存在する。まさに童話の神様である。


 世界的に地位も名誉も手にしていると思われるアンデルセンだが、実際のところ彼の人生は失敗の連続だった。貧しい家庭に生まれた上、11歳の時に靴屋の父親が他界し学校を辞めざるを得なかった。オペラ歌手になろうと14歳でコペンハーゲンに向かうが誰にも認められず夢を挫折。政治家のヨナス・コリンの助力によりなんとか大学には通えるようになったものの、文学的才能について学長から嘲笑され、コリンは個別授業を受けさせるほどだった。


 そんなアンデルセンであるが、やがて彼の作品は世界中で読まれるようになり、70歳に肝臓癌が原因で亡くなった後の葬式には、フレゼリク王太子や各国の大使、子供から年配者、浮浪者に至るまでが彼の死を嘆き、大騒ぎとなった。

 失敗続きの主人公が最後は大成功を納めハッピーエンドを迎える。まるで、アンデルセンの人生は童話の話のようである。


 4月2日は1872年に、日本初の官立公共図書館が設立された『図書館開設記念日』でもある。本から離れている方は、ぜひこの機会に図書館に足を運んでみては如何だろうか。




 今日は国際こどもの本の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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