2月12日 ブラジャーの日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
諸君、今日は語ろう。語り合おう。
男は、女を愛す。それは、厳しい生存競争の中、子孫を残さねばならない我々生命体に与えられた当然の本能だ。女性の仕草に、プロポーションに、そして声に、我々健全なる男子が惹かれるのも当たり前の話であり、責められる言われはない。では女体のどこに惹かれるかと問われると、顔、胸、尻から始まり、上級者ともなれば手、足、髪の毛。行きつくところまで行けば歯、腋、爪など女体には一切の無駄がない!! バックトゥザフューチャーに登場する天才発明家、エメットブラウンもタイムマシンの次は女体の研究に人生を捧げると公言したほどだ!!
だがしかし!!
時に男子は女性の体以外をも性的な目で見る事がある!
制服!
レッグウェア!
パンティ!
――そして……
本日、2017年2月12日は『ブラジャーの日』である……
本日、ブラジャーの日は衣料品メーカーのワコールが制定し、今現在は、日本ボディファッション協会が実施している記念日である。
1913年の2月12日、アメリカ人女性のマリー・フェルブ・ジャコブがブラジャーの原型を特許出願した。原型とは、ハンカチをリボンで結んだだけの非常に簡単な作りであった。
よくテレビで原始人の女性が胸に布を巻いてはいるが、あれは隠すための物でありブラジャーとは言い難い。正確にはブラジャーとは補正下着であり、おっぱいの形崩れを防ぎ、形状を整える物である。その後に正式にブラジャーが発明されるまでは、コルセットで体を締め付けるのが主流であった。
先ほどもちらりと話したが、男性は時として女性の下着に惹かれる事がある。中には理性を抑えられず、下着泥棒や盗撮としてその人生を破綻させる者も出る始末である。女性からすれば全く理解出来ない行動だろう。よく考えればわかる事。下着などタダの布切れであり、買おうと思えば今時100円ショップにだって置いてある。女性の下着を得た所で性交に繋がるわけでもない。女性には一生理解できないだろう。男性である私ですら、なぜ惹かれるのかまるで分らないのだから。
なに? 下着に興味がない? 嘘をつくな!!
例えば、貴君が出先で階段を上っていたとしよう。その先にはミニスカートの女性がいる。まず間違いなく視線は上を向くだろう。先程も言ったが、それを見た所で誰に何の得があるわけでもない。だがしかし、男として生まれたからには決して逆らえぬ本能がそこにはあるはずだ。ブラジャーも同じである。前かがみになった女性の胸元からチラリとそれが覗けば、決して目を逸らすことなどできない! 出来るはずが無い!! なぜだ!? わからないんだそんなの!! わかるわけがないんだ!! ググったって絶対に出てきはしない!! 有名な大学を出てる天才すらわからないんだそんなの!!
……女性諸君は、時に勝負下着を身につけると言う。なるほど、愛する男性にその姿を見せる時、彩るそれらは肉体をより魅力的に見せてくれるはずだ。だが、男性はそんな瞬間、下着にまるで興味はないだろう。さっさと取り外したいと考えるのが大多数の意見だろう。同じくアダルトビデオでも、下着姿なんてさっさと飛ばす者が多いだろう。
――なぜか。
ここから私は二つの仮説を立てた。
一つ目の場合。それらの場合は、その先の性交が確定しているからである。確定しているからこそ、すでに下着には興味がなくなり、女体の方に意識が向いているのではないか。
つまり、下着泥棒などの場合は、その目的の異性との性交があまりに遠い為、事前段階を踏んで行動してしまっているのではないだろうか。簡単に言えば、かわいい子を見掛けた時、いきなりホテルへと誘い込むのは難易度が高すぎるだろう。なので仕方なしに軽く食事に誘うと言う事前段階を踏むのと同じなのではないか。女体を見ると言う最終目的の前に、まずはその下着を見るという事を第一の目的とする様に、我々の中に意識が、DNAの中に本能が刷り込まれてしまっているのではないだろうか。
二つ目はこうだ。よく幼い子供は、好きな異性に対して逆の行動をとる場合がある。かわいい子にわざと冷たく当たったり、ツンデレと呼ばれる行動を示す事だ。
つまりは、女性が普段隠し、見られたくない部分を見ると言う行為がそれらにあたり、おおっぴらに見てくださいと提示された物にはやはり興味が湧かないと言ったところである。私の場合であるが、一時期流行った見せパンなるものにはまるで興味は出なかったし、下着と同程度の面積を誇る水着にもやはり興味を惹かれない。見てはいけないものを見る背徳感こそが我々を駆り立てるのではないだろうか。
とりあえず最終的に言いたい事は、
今日はブラジャーの日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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