2月11日 建国記念の日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
国民の祝日。一年の内に16度来るそれらが制定されたのは1948年の7月20日の事であった。多くの諸君らはそれらの有難さを、主に学校の休日と言う形で味わっているはずである。だが、社会人ともなるとそうは言ってられない。大抵の企業の場合は国民の祝日だろうと普通に営業しているだろうし、サービス業ともなれば掻き入れ時である。
今日は、そんな国民の祝日の一日だ。本日、2017年2月11日は『建国記念の日』と呼ばれている。
建国記念の日と聞いて、2月の11日にこの日本が出来たと誤解される人が多い。無理もないが、それは間違った認識である。
例えば、アメリカが出来た日は1776年の7月4日であり、現在は
では、2月11日と言うのは一体何の日なのか。それは古事記や日本書紀に語られる初代天皇、『神武天皇』の即位日である旧暦の1月1日の事を指す。この日を現在主流になっている新暦に当てはめると2月11日と言う日付が出てくるわけだ。実際の建国記念日が記念日に制定されていないのは、正確な日付が分からない為である。
「建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。」
国民の祝日に関する法律第2条には、この様な趣旨が規定されている。ならば今日はこの趣旨に則り、一つ、普段日本にいれば気付かないこの国の良いところを知ってもらおうと思う。
諸君らは外出時、用を足したくなったらどこを利用するだろうか。コンビニ、デパート、駅、公園。様々な所に設置されているトイレであるが、実は日本のこのトイレが世界一だと言われている事をご存じだろうか。
まず最初に、トイレを維持するのには当然金がかかる。現在は水洗が主流であるが、その水代も、電気代も、清掃に要する器具、人件費も馬鹿にならない。だが、日本のトイレはどこも無料で利用することが出来る。我々にとっては当たり前の事だが、トイレの利用に料金が発生するヨーロッパの人々から見れば信じられない話だそうだ。
次に語るのはトイレットペーパーだ。外国へと旅行される方で、トイレットペーパーを携帯していく人は少なくない。なぜなら、日本のトイレットペーパーは海外の物と比べ柔らかさが段違いなのである。実際、アジアの一部では、紙が水に溶けない為、流すことができずゴミ箱に捨てさせる地域もあるくらいだ。
最後に、日本のトイレは世界一の清潔さを誇る。勿論、清掃員さんが責任を持って綺麗に保ってくれていると言うのもあるだろう。だがそれだけではない。日本のトイレが世界一綺麗だと言われるのは、我々、利用する側が感謝を持って綺麗に使おうと心がけているからである。
少し前に、トイレを綺麗にすればべっぴんさんになれると言うフレーズが、多くの人の共感を呼び流行ったのを覚えているだろうか。
次に利用する人の事を考える。一人一人のこの心構えこそが日本の良さであり、今日、建国記念の日だからこそ心に刻まなければならない事であると、私は思う。日本のトイレが世界一だと言われる所以は、日本人の他者への気遣いが世界一であるからだと、私は思っているのだ。
今日は建国記念の日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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