1月15日 ウィキペディアの日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、諸君らも日々の生活において一度は利用した事があるだろう。私もこの小説を書くにあたって大いに役立たせてもらっている。そう、本日2017年1月15日は、『ウィキペディアの日』である。


 2001年の1月15日、インターネットサイト、『ウィキペディア』がオープンした。私が説明するまでもなく、世界中の誰もがそのサイトの名を聞いたことがあるだろう。だがしかし、その前身があった事を多くの人は知らない。


 その名は『ヌーペディア』。2000年3月にアラバマ州オーバーン大学を卒業した『ジミー・ウェールズ』が、『ボミス・インク』と言うインターネット企業の出資の元立ち上げたサイトである。


 ボランティア達の執筆の元、無料で視聴できる百科事典を作ると言うプロジェクトは、当時のヌーペディアの厳しすぎた参加資格の条件と、素人には手が出せなかった複雑な編集プロセスにより、執筆者の数も、記事の数も伸び悩んだ末失敗に終わってしまう。だがしかし、ヌーペディアのこの失敗こそが後のモンスターサイト、ウィキペディアの始まりへと繋がった。


 哲学者であり、大学教授だった『ラリー・サンガー』とジミーは互いに解決策を模索し、遂に2001年、ウィキを導入したプロジェクト。ウィキペディアを開始する。

 ウィキとはシステムの名前だ。簡単に説明すると、誰でも簡単に文章を書き替える事の出来るシステムと言ったところか。


 これにより、創設2年目にしてウィキペディアは世界最大の百科事典とまで言われるほどに成長した。ウィキペディアは当初、10万の記事を作る事が目標だったが、2016年の時点で、英語版で500万を超える記事、日本語版でも100万を超える記事が書かれている。


 誰でもいつでも気軽に無料で利用できる百科事典は、我々の生活を大いに豊かにした。失敗には終わったが、2008年、ヌーペディアはCNET UKによる『偉大な今は亡きサイト』の一つに選ばれている。


 ヌーペディア創設者、ジミー・ウェールズは幼少期、両親に買って貰った百科事典を夢中になって読みふけっていたと言う。世界を変えるのは、一人の人間のほんのちっぽけな情熱なのかもしれない。




 今日はウィキペディアの日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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