1月13日 ピース記念日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日2017年1月13日は、『ピース記念日』である。
ピース記念日と言うと、諸君らは平和を称える日を連想するだろう。その発想は間違ってはいないが、私のそれとは少し異なる。なぜなら、私にはもうかれこれ10年程の付き合いになるからだ。
ピース記念日とは1946年に発売された高級煙草『ピース』を称える日であり、私の愛煙している銘柄である。
発売当時は10本入りで7円にて、日曜祝日、一人一箱に限定し販売していた。今現在は10本入りで230円である。もし私に過去に行ける手段が手に入ったなら、一目散にこの時代へと訪れ、一生分の煙草を買いだめするだろう。まさか、未来人が私と同じ発想をし、生産が追いつかなくなり限定販売にしたとでもいうのか!?
おっと、このままでは煙草を吸わない人にはまるで興味の無い話になってしまう。いやむしろ、喫煙者の諸君らにもそっぽを向かれてしまうな。これは失礼。何分、私は心の底からピースを愛しているのだ。だが、それと同時にピースに大衆受けする人気が無い事も知っている。ピースの香りは独特で、好き嫌いが分かれやすい。まるで私の様ではないか。そんなところも気に入っている。そろそろ煙たくなってきたか。
ところで、ピースのパッケージには、オリーブの葉を鳩が咥えたデザインが施されている。これは、旧約聖書にて登場する話が元になっている事はご存じだろうか。あの有名なノアの
外界にて大洪水が起きた。だが、方舟に乗るノアにはその様子を知る術がない。そこでノアは、方舟の窓から帰巣本能の強い鳩を放った。やがて放った鳩は、オリーブの葉を咥えて戻ってくる。それを見たノアは、大洪水が収まり、安らぎの大地が近い事を悟る。
この事から鳩やオリーブは平和の象徴とされてきた。国連のマークにもオリーブの葉が描かれているが、もしノアが放ったのがカラスだったとしたら、平和の象徴はカラスになっていたのかもしれない。
ピースがこのデザインに変更されたのは1952年の事であるが、ラッキーストライクのデザインも手掛けたレイモンド・ローウィのこの功績は日本のデザイン業界に革新を起こす。それまでの年間売上本数が26億本であったピースが、なんと変更後には年間150億本にまで爆発的に伸びたからだ。
同じ商品でも、見た目が変われば突然売れる事がある。是非、休日には美容院に、服屋に足を運ぶことをお勧めし、実践しようと心から思った。
今日はピース記念日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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