87 首飾り、鷹、服

空は高く晴れ渡り、時折風が草を撫でてサラサラ音を立てる。猟師のハンスは山の森の中にぽっかり空いた平原で弁当を食べていた。天気のいい日は用事がなくともここへ来るのがハンスの日課だった。

ふと目の端、空の方で、何か光るものがあった。見上げると鷹が上空を舞っている。そしてその鷹が掴んでいる何かが、光を反射して光っているのだ。

当たるところすれすれを撃つと、鷹は驚いて持っていたものを落として行った。

それは銀でできた首飾りだった。派手な宝石などはついていないが、泥を服で拭い取ると細かい彫刻が施して現れて、そこらの工場長程度ではなかなか手が出るようなものではなさそうだった。

と、そうしていると後ろから静止するよう命令された。兵隊だった。聞くとこの首飾りはどうやら近くに来ていた王女のもののようで、鷹がそれを奪って言ったのを探させられていたらしい。それを聞いたハンスは、兵士に王女に合わせてもらうよう頼んだ。今ではハンスは王室の曲芸師としてたいそう人気者になった。

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