30 大根、いくら、侍

ある侍が海辺を歩いているとタコが干からびかけているのを見つけた。聞けば大根を取ろうとして陸に上がったはいいものの思うように行かず、その間に体が乾いてしまったのだという。未遂ならば見逃してやろうと、侍はタコを海に返してやった。

次の朝、侍が戸を開けるといくらや魚など海の幸と大根が戸口の前に置いてあった。その大根の埋め合わせでタコの恩返しはほとんど消えてしまった。それからその侍は海辺でタコを見つけては切りつけているという。

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