29 ベッド、月、畑

起きた時一瞬寝過ごしたのかと思った。窓から差し込む光でベッドの木目までしっかり見える。月がこんなに明るい夜は初めてだった。外を見て何か違和感を覚えた。月の青白い光のせいではない何かが違う。畑だ。畑の中心で黒い何かがこんもりと山を作っている。外に出てそれがスケールが大きすぎる芽のようだと分かった。いたずらか? そう思いながらそれに触ると、いきなり空がひっくり返り地面に叩きつけられた。

顔がヒリヒリする。全身が痛いし太陽が眩しい。目を瞑っていてもまぶた越しに目が焼ける。どうやら仰向けで気絶していたらしい。残像のせいで見えづらい視界であたりを見回して、ここが畑ではないことに気づいた。

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