19 本、狼、夜空

 むかしむかしあるところに不思議な絵本がありました。表紙は真っ白な中にひとつ小さな黒い点があるだけで、題名も作者も書いてありません。

 ページをめくっていくと真ん中の点がどんどん広がっていって、それが夜空だとわかります。星雲や恒星がキラキラ光り、黒い点は広がってあなたを飲み込みました。不思議と息は続いて、目の前は天狼星よりなお明るい星や超新星爆発の輝きで満ちています。

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