18 昆虫、髪、袋

 正月に親戚の家で出くわしたことだ、夜トイレに行く時親戚が廊下に吊るしてあった袋に髪の毛を切って入れているのを見たことがある。次の日こっそり中を覗くと髪の毛はその中で規則正しく詰め込まれていて、カゴの目のような構造を作っていた。よく見ると白い粒のようなものが点々とあって、それは小さい昆虫なのだと知った。小さい芋虫のようなものが髪の毛を這い回っていて、細かくは数えなかったが50匹は軽く超えていそうだった。背中と足首に冷たいものを感じて私は予定より早く親戚の家から帰り、その日は念入りに体を洗った。元から正月のときぐらいしか付き合いはなかったが、これからはあの家の誘いは絶対に断ることにした。

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