不思議な話

第7話 未成年たちの主張



―金曜 16:40



高坂高校の屋上に男子生徒が200人近く集まった。



これから帰宅や部活を控える中でこの人数が集まったのは言うまでもない。



彼らは堀の上にある女子高に注目していた。



奇声を発し、狂気的に盛り上がり、その時間を待っていた。



まるでこれから祭りでもあるような。



―時刻 16:45



キーン コーン カーン コーン



隣の学校からチャイムが聞こえる。



同時に女子のキャーという奇声と騒音が学校から放たれる。



屋上、男子校側の校舎の窓が女子高生の顔で埋め尽くされる。



拡声器を持った少女が屋上の柵を乗り越えた。



左手を後ろに回し、右手で拡声器を持ち、そして大音量で放たれる。




「ただいまよりっ!! 第33回! 高高対! 高女のっ!!! 男女定期戦をっ! 開催します!!!!」



うぉおおおおおおお!!!!


いええええええええ!!!!



ひゅーひゅー!!!


ぱちぱちぱちぱち!!!!!




収まることない歓声、拍手!



こんなものだれも止めることができないだろう



彼女以外は。



拡声器女子が左手を突き上げる。



「せぇーのっ!!!!」



ダン! ダ!ダ!ダン!



彼女の腕の動きに合わせて足音や拍手が起きた。



屋上が踏み抜かれて7階建ての校舎が陥没するのじゃないかと先生たちが心配する中、



「今日はっ!! 3人のっ! 挑戦者がいます!!」



うおぉおおおおお!



男子が歓声を上げる



拡声器女子と入れ替わりボブの女の子が策を飛び越えた。



彼女が第一の挑戦者だ。



「みなさんこんにちは!!!」



\こんにちは!/



「2年4組の高野橋貴子です!!!」



「今日は!みなさんに告白したいことがあります!」



\なぁにー?!/(黄色い声)



「えー、高坂高校!一年!! 高崎隆司君!!! 前に出てきてください!!!」



\おおっー!/


おらっ! 行けよたかさき! がんばれっ!



「1年三組!!!! 高崎隆司です!!!!!」



\おー!!! いいぞタカシ!!!/



「高崎君!!! 私のこと覚えてますかっ!!?」



「先輩の事忘れるわけありません!!!!」



\おー!!! キャーーーー♡!!!/



「高崎君!! 高高入学おめでとう!!!!」



\おめでとーう!!!/(ずぶとい声)



「中学生の時、同じ部活の高崎君に告白されたけど、 私は受験勉強があるからと言ってことわってしまいましたね!」



\・・・/



「それで、高崎君が!『先輩が高女行くなら僕も高高行くんで待っててくださいって!』言ってくれてうれしかったです!!」



\キャーーーー!♡♡っ!/



「高崎君! 今度は私の番です!! 私高崎君のことが好きです!!! よかったら付き合ってください!!!!!!!」



\おおっー!/



「先輩!!!! よろしくお願いします!!!!!」



\きゃーーーーー!!!!うおおおおお!!!!!おめでとーーーー!!!!!/



周りの仲間から頭を叩かれる高崎。



泣き崩れて友達のところへ戻る女子。




それと入れ替わり三つ編みでメガネをかけた女子が屋上から乗り出す。



2人目だ。



「こんにちはー!」



\こんにちはー!/



「2年3組のー!高砂中子です!!」



\イェーイ!/



「サッカー部の高島君!! お話があります!!」



\おおっ?!!!!/



「二年5組ーー! 高島ですー!!」



\きゃーー!!!!! いけめーーーーーーん!!!/



「高島君! 高島君のサッカーをする姿を見て! 一目ぼれしてしまいました!!! 私と付き合ってください!!!!」



「ごめんなさい!!!!!」



\あぁー・・・・・/



「  ぐすっ…   」



\中子ー!! がんばってー!!!/



「たっ、高島くん! ずっとずっとあこがれてましたー!!」



「ごめんなさいー!」



「あたしっ! 脱いだらすごいんです!!!!」



「無理ですーーー!!!!」



「わかった!!!! 眼鏡外します!!!!!」



\おおっー!?/(野太い声)



「三つ編みも取ります!!!!!」



\かわいいー!!!!/(黄色い声)



「これでどうですか!!!!?高島君!!!!」



「結婚してください!!!!!!!!!!!!!!!!!」



\いよっしゃぁー!!!!! ひゃっほーーーーーーーい!!!!!!!!! メガネ無いとかわいいやんけ!!!!!! かわいいーーー!!!!! むっつりーーーー!!!! はぜろーーーーー!!!!/




眼鏡を捨てた子と黒髪ロングの子が入れ替わった。 三人目だ。



女子が少しざわつきだした。



「みなさんこんにちはっ!」



\こーんにーちはー!!!/



「1年1組! 生徒会長の高坂晶子です!」



高坂高校の男子たちもざわつきだした。



おい…あれって ウチの理事長の娘じゃね? そうだよ高坂さんだよ… 高女にいるって聞いてたけど… あれが…



「今日はみなさんにお知らせがあります!」



\なあにー?!!/



ざわつきもこの宣言の前ではすぐにやむ。



「私のお母さんはここの理事長なんですがー!危険とのことでこの定期戦も今回でやめてくれと言われましたー!!!」



\えぇーーー!!!!!!/


\やだっ!!! ふざけんなー!!! 理事長かわいいぞー!!! 私まだ告白してないーーー!!!!/



「みなさんがそういうと思ってー! 私はお母さんに反対しましたー!!!」



\おー!!!? いいぞー!!!/



「それでー! この告白大会を止める代わりにー!! ある約束をとりつけましたーー!!!!」



\なぁにーーっ?!!!/



「夏休み明けからーーー! 渡り廊下の工事をする予定でー!!!二つの高校がつながります!!!!」



\うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!/


\ええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!/



「来年からついに!!!!  共学になります!!!!!!!!!!!」



\やったーーーーーー!!!!!! おおおおおおおおおお!!!!!!!!!/



「しょうこーーーーー!!!!!!」



盛り上がる中男子校側からものすごい叫び声がした。



「晶子さん!!!! 俺の話を聞いてくれ!!!!!!!!!」



\ちょっとー! 男子からの告白は禁止されてるでしょー! いいのー!?/



「かまいませーん! どうぞー!!」



\おおっ!?/



「高坂晶子さん!! 1年2組の大阪大樹です!!!!」



\いいぞー! だいきくーん!!!/



「僕は! あなたに! 言わなければならないことがあります!!!!」



「なんですかー!?」



「晶子さん!!! いや! 晶子!!!!!」



\きゃー!!!!!/



「俺はお前の兄だーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」






















えっ・・・・



















\えぇーーーーーーーっ!!!!!!?????!!!!!!! はぁーーっ???????!!!!!/



「君のお父さんはっ!僕の親父だっ!!! 俺たちは小さいころ!両親の離婚で別れたんだっ!! それをいつ君に伝えようか迷ってたっ!!!」



「  うそ…  」



「俺はっ!!! この場で!!! 君からの告白を待つつもりだったんだ!!!!! それがなくなるなら!!!!! 今しかないと思ったんだ!!!!!!!!!」



\やったーー!!! ぱちぱちぱちぱち!!!!!/



「大阪君!!!! 私はキミのことが!!!! 好きでしたっ!!!!!!!!」



\えええええええええっ!!!!!!!!!!!/



「ごめん!!!!!! 俺はお前の兄だっ!!!!!!!!!!!」



「お兄ちゃん!!!!! これから同じ高校行けるんだよ!!?」



「晶子ー!! 今日から一緒に暮らそう!!!!!!!!!」



\おめでとーーーーー!!!! わーーーーーーー!!!!/




いつの間にか拡声器ちゃんが黒髪ロングの隣で肩を支えていた。



「男子校諸君!!!! これにて第33回定期戦を終了する!!!!!!!!!!」



\わぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!/



「また来週金曜日!!!!! お楽しみに!!!!!!!」



\うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!/

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