5等星 今日はしし座流星群だよ!
れお「もしもーし」
つき「もしもし?」
れお「今ひま?」
つき「はっ?・・・まぁひまっちゃひまだけど。」
れお「あのさ、今から星見にいかね?」
つき「は?明日バイト…てか今11時だよ?」
れお「バイト何時から?」
つき「いや…九時だけど」
れお「ゆーてよゆーっしょ! あのさ、今日流星群なんだって」
つき「あー、ツイッターで見たなぁ」
れお「でさ…だいきが今日彼女と赤城行ってんだけど」
つき「うん」
れお「それ聞いていいなーって思って…ちょっと星見にいかね?」
つき「えっ、赤城まで?遠くね、絶対寝るよ?」
れお「あっ、いやいや、赤城まで行かなくてもさ、梅田あたりの山でいいから。」
つき「何で行くん?車?」
れお「そだね、行く?」
つき「うーん、行くか」
れお「えっ!まじで! ほんとにいいの?」
つき「いいよ、行こうぜ。俺も天体好きだし」
れお「ありがとつっきー、愛してる」
つき「うるせー死ね」
れお「え、で、車どっちが出す?」
つき「あー、車でもいいんだけどさーバイクでいかね?」
れお「えっバイク?」
つき「うん、二人乗りで。」
れお「えーやだー心配だわー」
つき「大丈夫だよ、二人乗りしたことないけど。多分。」
れお「俺メット持ってないよ?」
つき「あー、そっか、だめだな。」
れお「あっ、でも大丈夫。借りていくわ。」
つき「そう?じゃあ学校でいい?」
れお「えー、ウチまで迎えに来てよ、つっきーお願い♡」
つき「キモい。…わかったよ迎いく。」
れお「ほんと?ありがとー!」
つき「寒いから厚着して来いよ?」
れお「大丈夫わかってる!じゃあ三十分後くらいでいい?」
つき「んー。じゃぁ11時40分くらいに行くわ。」
れお「おーけーじゃあねー。」
つき「おう、また。」
それからシャワーを浴びて、そのあと「手袋あったら持って来いよ」とラインして、髪をそこそこに乾かしてから家を出た。
車で5分かけて大学へ行き、駐輪場に止めてあったボロボロのNINJA250Rを引っ張り出して玲央の家まで向かった。
家の前に着いたとラインして10分後にれおが出てきやがった。相変わらず。
自転車用のヘルメット持ってこられたときは笑った。
そのあとケツにやつをのっけて小林の家まで行った。
小林から原チャリかりて、れおと俺で山までツーリングすることにした。
俺んちの最寄りのコンビニでホットココアと缶コーヒーを買ってやっと山へ向かった。
この家から学校行って玲央の家着いて小林の家経由して最寄りコンビニまでの経路で約6キロである。全国田舎大会を開いたら市部門でベスト50位にはおそらく入れるだろう。
トンネルを2つ超えたところで、県道を外れて山道へ入る。
多分この時間に1人で運転してたら車でもビビっていただろう超山中。
街灯0.電線ももちろんない。軽自動車がギリギリ通れるような悪路をアクロバットに駆けていった。
というのは嘘で砂利道に何度か後輪をとられ、大きな石を踏んだ時は車体が持ち上がって死ぬかと思った。
ワンサイドガードレール。左は崩れた山肌、右手は樹木の谷そして川。
死ぬかと思った。(二回目)
原チャなんて自転車である。ニンジャの重たいこと重たいこと。
分かれ道間違えて登ったときは、車体の切り返しで死ぬかと思った。
ちなみにそのとき先導していたのは玲央だ。原チャリは曲がるの簡単だろうなぁ、
紆余曲折あって(文字通りダブルみーにんぐで超気持ちいい)
なんとか山の開けた道に出た。
先頭の原チャが右ウィンカーを出して止まる。
それに続いてバイクを並べる。
坂道でサイドスタンドだけだと心配になるけど、これで倒れないから素晴らしい。
バイクの設計と力学に感動しつつフルフェイスのヘルメットを脱ぐ。
痛くはないが、とても冷たい空気がまとわりついた。
すぐに背中からニット帽をとりだしかぶる。
手と体はなんとか熱を保っているが足先が冷たすぎた。まぁスニーカーじゃこうなる。
つき「コーヒー取って」
れお「はい。さっむいな。」
つき「ねー。ありがと。うわもう冷えてんな。」
れお「息白っ。」
つき「はー、月明るいな。」
れお「2日前なんとかだったもんね。」
つき「スーパームーンな。」
れお「星綺麗だね。」
つき「うん。きれいだ。月も綺麗。」
れお「あ、それあれでしょ?」
つき「ちげーよ死ね。」
れお「もう、照れちゃって//」
つき「キモい。」
れお「オリオン座みえるねー。」
つき「てかしし座ってどこ?」
れお「わかんねw」
つき「ケータイ…あ、だめだ圏外。」
れお「こういうとき詳しい奴がいるといいよな」
つき「ちょっと待って考える…えっと、しし座って八月だろ?八月…後半?いや前半か?誕生日星座の半年後が夜空の星座なんさ。俺11月でさそり座だけどサソリって夏の星座じゃん?8月…じゃないな五月じゃん。あれ南だっけ?あ、わかんねw」
れお「なんだよ結局にわかかよ。」
つき「るせー。」
れお「方角わかんないね。」
つき「北斗七星とWあるよ。あれ北極星だべ。」
れお「あーね。」
つき「あー、これ首疲れるな。寒いし。」
れお「あっためてあげようか?」
つき「…手。」
れお「もー、あまえんぼだな。」
つき「うわお前の手つめたっ、手袋でもつめた。」
れお「えー、ポケット突っ込ませてよ。」
つき「やだよ。カレシかよ。」
れお「えー、ダメ?」
つき「しょうがねぇなぁ…」
れお「あー、別にあったかくないな。」
つき「後ろから抱き着くのやめてくれこそばゆい。」
れお「じゃあおれに抱き着けよ。」
つき「ヤダキモイ。」
結局背中合わせに空を見上げることにした。
左手に山肌。右手には開けた川。その向こうにまた山。
月明かりが明るすぎてよく世界がひらけて見えて。
右上の空を眺めて。月の周りには星が見えなくて。
月を肉眼で直接見ると目が痛くなるくらいだった。
左側に星が流れてたらもったいないなぁと思った。
つき「てかお前下行けよ。俺が坂の上。」
れお「はいはい。」
つき「あー、ちょうどいいね。同じ身長くらいだな。」
れお「なんかさ、君の名は。みたいじゃない?w」
つき「あー、この景色ね。」
れお「まっ、俺みたことないけど。」
つき「俺も見てないけどね。」
れお「なんだよ。」
つき「あー、お前が女だったらよかったのに。」
れお「そうしたらホレてた?」
つき「そうねー。こうしてた。」
ぎゅっ
れお「もー、てれるわ。」
つき「さみいんだよ馬鹿。」
れお「はいはい。あったまりな。」
つき「あー、きもい。死ね。」
れお「自分からやっといてなんだよw」
つき「るせー。」
むかつくことにこいつはイケメンで。
まあそれだけなんだけど。
れお「流れ星こないねー。」
つき「今何時?」
れお「んー、2時40分。」
つき「もう流星群終わっちゃったんじゃね?」
れお「そう?」
つき「あと月が明るすぎて見えないとか。山のむこうかも。」
れお「あー、それだったら萎えるわー。」
つき「…もう帰る?明日バイトなんだけど。」
れお「そうだね。帰ろっか。」
つき「帰り気をつけろよ?」
れお「帰り先導して?」
つき「はいはい。」
このあと山降りて、橋の上でまた止まって空眺めて、トンネルの直線で爆走して、ケータイつけて、ガソリン入れて帰った。
山なし。
落ちなし。
意味なし。
終わり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます