修行期間

第11話 気を失っている間に決まっちゃってました。

ゴトンゴトンと音が聞こえてる。

目を擦りながら体を起こす。

「ああぁぁ!」

筋肉痛が痛い!筋肉痛が!ああ!痛い!こんな痛い筋肉痛を味わったのは初めてだ!


また横たわる。


「あぁ楽だわぁ」


そう、動かさなければ筋肉痛とてどうということはない。ほんと地球に居た頃とは比べられないくらい酷い筋肉痛だった。そりゃああんな無茶な動きをしたらこうなるわなぁ。

人間とは思えないぐらいの動きしてた気がするし。地球に居た頃の俺じゃ一生あんな動きはしないだろうなぁ。



てか、そういえばあの後どうなったんだろ

馬車の中には俺だけしかいなかった。


「あれ?ソイラは?」


え?てかどこだここ。いやさ、普通だったらさ、景色が木とか山とか森とか林とかじゃない?いや、外見たらさ、完全にさ、飛行機から見る景色だよ!雲の上だよ!異世界に来て目を開けたら飛んでるんだよ!馬車とか言ったが馬いないし!ただ、箱が飛んでる?だけだしどうなってんだ異世界


「おお、起きたか少年」


箱の窓から老人が顔をだす。


「ひっ」


「驚かせてすまんかったな。聞きたいことは山ほどあるじゃろうが、話は後じゃ。もう少しで到着じゃから待っておれ」


老人は首を引っ込み、捕まっておれよーという声が聞こえた。

見回してもこの箱には捕まってられるところなんてなかった。


途端、体が宙に浮く。


声を発することもできず、なすがまま体をぶつける。


あぁぁ。これがシェイクされてるときの液体の気持ち!


筋肉痛と吐き気、そしてシェイク...。



少したってから急に体が重くなる。エレベーターで急降下したときみたいな感覚が襲い、耐えられなくなり箱の中で回転しながらゲロを撒き散らす。


「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇっぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇっぇぇぇえぇグフゥゥ」


立ち上がる急な眩暈におそわれ、転びそうになるが、目を開けてよく見ると足元が水だった。


「は?!え!?いや!?は?!どこの忍者になったんだ!?」


頭が追い付かない。


「まぁ、無理がないじゃろう。取り敢えずこれを飲め」


突然キラキラと虹色に輝いた水玉?が飛んでくる。口に張り付いてくる。全くとれない。てかこれを飲むのか?大人しく啜ってみる。




「?!すっぱ!」


いや、でも少し甘味があって、辛くて、甘くて...すっぱい!結局酸っぱいじゃねぇか!


......ふぅ。なんでこんなもの飲ませたんだ?


「ほっほっほ。面白い子じゃのう。立ち話もなんじゃついてこい」

「あぁ、はい。わかりました」


老人の後に続く。



老人の前に突然下からテーブルとイス二つでてくる。


「少年は飲み物なにがよい?」


「え、えっと、じゃあ、カフェ...」


この世界ってカフェラテとかいう飲み物あるのだろうか?無難に紅茶にしとくか


「紅茶で」


「少年にしては大人な物を飲むんじゃな」


イスに座るとお待たせしましたと言って人型を模った水がカップを持ってきた。


「天獣?」


「ああ、これは精霊じゃ。長くなるから後々説明しよう。で、まず何から聞きたい?」


「えーと、自分が気を失った後どうなったんですか?」


「儂も詳しくは伝えられてはないのじゃが、ロイスとあの村長の働きにより、無事討伐できたそうじゃ。負傷者は出たが、死者は出ていないそうじゃ。それからーー」



長かったのでまとめると、


俺が気を失ってる間にソイラの両親が使い魔を通して相談したらしく、結果付き人として相応しくなるようにと、修行させれるらしい。大体4年間ここでお世話になるようだ。

この4年間、ソイラは学園都市にて初等教育を受けるらしい。4年後、9歳から中等教育らしい。その頃に付き人として入学させるとのこと。

学園生活は4年後というわけになった。


使い魔とかファンタジー感溢れる単語が出てきたが、精霊のことを説明するついでに使い魔について教えてくれるらしい。とても楽しみだ。


で、次の質問


「大体はわかりました。で、ここはどこですか?」


今俺がいるところは、湖の上だ。周りは崖で覆われている。形状的に火山湖に近い気がする。箱で飛んできたことを考えると、山頂か何かだと思う。


「大体予想できるているとは思うのじゃが、ここは山頂じゃ。火山湖というやつじゃ。位置的には、人里からはかなり離れている。なぜ、立てるのとかいうことはこの精霊の力じゃよ」


といって人型を模った水を指さす。


「はい。この湖の水には、大量の魔素を練りこんであるため、魔力を持つものは自然と立つことのできるような仕組みとなっております」


「え、じゃあ、魔力を持たなかったらどうなるんですか?」


「沈みますね」


へー。だからこのテーブルとかこの湖の下から出てきたのか。最初は魔力を持たせず沈めておいて、魔力を持たせて上に上げるみたいな感じだろう。多分。そうだよ。でも、俺に魔力がなかったら絶望的だったよな。


「ほかに質問はあるか?」


んーと悩むが今思い浮かぶ質問は特になかったので、首を横に振る。


「今後の方針じゃが、今日は休むといい。明日からは早速修行を始めようと思っておる。明日は、現時点でどれほどまでやれるかを見てみたい。明後日からは本格的にやるつもりじゃ。確認じゃが文字は読めるか?」


日本語なら読めますよ!英語はそこまで得意じゃないです。とか異世界で答えれると思います?この子の親めっちゃすごい人だけど、あれだよね。この子教育受けてないからこの世界の文字とか読めないよね。


「読めないです」


「うーむ。そうか」


少し悩んだあと言った。


「今は読めなくても全然気にしなくて大丈夫じゃ。4年間あるのだから、まず2年間は戦闘や礼儀作法について教えていこうと思っておるから安心せい」


戦闘...ねぇ?天獣とかと戦ってみて思ったんだけど、戦闘は確かに異世界にいる!って感じして楽しいけど正直、きついのは嫌だし痛いのもいや。筋肉痛とかいやだし。


「そう、顔を顰めんでもいいじゃろ」


「戦闘とかって痛いですよね」


「まぁ痛いが慣れればどうということはない」


う、うう、、うん。そうなんだろうけどさ、、、というかどの道選択肢なんて今の俺にはないわけだし、大人しく修行するしかないんだけどさ。


「分かりました。精一杯頑張ります」


「ゆるーくでいいぞ。また聞きたいことがあったら聞いてくれ。今日は寝なさい。まだ日は落ちてはいないが疲れが出るじゃろうて」


老人は腰を上げすたすたと何もない湖を歩いていく。



と、消えた。


「は?」


え、


「は?」


いやいやいやいやいやいや。どこで寝ればいいの?ねぇ?休む場所なんてないぞ?辺りは水に水に水に人型を模った水。


いるじゃん!


「え、あの、どうすればいいですかね。精霊さん」


「そこら辺で寝ればいいんじゃない?」


冷たいです。精霊さん。この湖の水の温度よりも冷たいです。


「ふふっふ冗談ですよ」


その冗談この湖の水の温度よりも寒いです。


「取り合ず横になってください」


「あ、はい」


その辺で仰向けになる。


「なんて、説明すればいいんでしょうか・・。えーと、目を瞑ってください」


言われた通り目を瞑ると深く沈んで行ってる気がする。


は?!慌てて目を開け、飛び上がって起きる。


「殺す気ですか?!」


「いえいえ。そんなことはしませんよ。横になって目を瞑ると沈む仕組みになってるんですよ。ちゃんと呼吸できるので気にしないでいいですよ。目を開けたらゆっくりと上がってくると思うので、安心して大丈夫ですよ」


思うので?でも、そうするしかないので、言われた通りにしてみる。

冷静になってみるとちゃんと呼吸できるし。なんかウォーターベッドで寝てる感じに近かった。


おやすみなさいという声が聞こえてくる。気が遠くなり、そのまま眠りについた。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る