第5話 集落(2)


天獣...何故だろうか無性に天ぷらが食べたくなってきた。


「その天獣が現れる場所に住み続ける訳は?」


「ああ、理由な。何だと思う?」


質問を質問で返され少し悩んで幾つか予想の並べる。


「物好きの集まりとか...お金とか関係なく強くなりたい人とか...そんな理由ですか?」


「どちらとも正解だ。ま、行ってみればわかる」


「それも、そうですね」


お楽しみってやつか。そういえばこの異世界で魔物って一回も見たことないな。期待せず楽しみにしとこ。

話を聞いてると、少し肌寒くなったので馬車の中に入ろ。


「聞かせてくれてありがとうございます。馬車の中に戻ります」


「おう」


馬車の中に戻るとソイラは既に起きており、大きい本を膝の上に載せて読んでいた。


俺が入った事にも気づかず、黙々と本を集中して読んでいる少女を眺める。5歳の女の子が大きい本を凄く集中して読んでいるという絵面は中々拝めることができないので、微笑ましいなと思い、自然と口が弧を描く。


暇なので、凄い速く本を読んでいるソイラを見ながら情報をまとめよう。何か変態になった気分に一瞬なったが気にしないで進めよう。

まず、ソイラが今読んでいる本からの情報で魔法について書かれてあった。

魔法の使い方は基本的に魔法陣を使って発動する。

最初に魔法には階級、があるらしい。下から下級魔法、中級魔法、上級魔法、最上級魔法、とあり、延長線上に連立魔法陣があり、その力を使うと最大で下級魔法でも上級魔法にも匹敵する程、覆す事が出来るらしいが、現在連立魔法陣を極めた人は指で数えるほどらしい。

連立魔法陣の事を語りだすとキリがないので、割愛。


魔法を使う代償として魔力と言われる力を支払う。魔力の種類は2つあり、一つ目は体内で生成される物、二つ目は自然生成される物とある。二つ目は、まだ解明されてはないらしいが、現在、木や土からも魔力が生成されることが解っている。


魔法陣は、使用者が思い描く魔法を気軽に魔力があれば殆ど発動できる。

例えば熱い炎、矢形、小さい。と思い描けば、魔法陣が現れ、代償、魔力を支払い発動することができる。発動するまでの時間は知識があればすぐに行使できるが、知識がなければ行使するまで時間が遅くなる。


魔法陣を使わず魔法を発動するには、魔力操作、知識等が必要不可欠になり、簡単ではないらしい。


大体この異世界の魔法を短くまとめた。なんか難しそうだが、ロマンが詰まっているので極めてみたい...と思っているが、期待しすぎると出来なかった時の悲しみが凄いと思うのであまり期待せずと思ってはいるが...無理だね。うん。


確かこの異世界に転生するとき自称ゴッドさんが滅茶苦茶重要な情報言っていたよな。基礎能力上昇って言ってたな。5歳児にしては、筋力とか体力があったような気がする。

前世の5歳の時は、全力疾走したときよくこけたりしてたな。でも、水浴びの時全力疾走した時こけなかったな。

そういう重心的なのにも作用するみたいだな。いや、でも重心は多分成長速度上昇とか言うスキルの影響かな?でもこの場面で言う成長速度上昇は筋力が上がりやすいとか知識を直ぐに吸収できるとか魔法の熟練度的なのが上がりやすい!みたいな感じの成長だよね。流石に8歳の時に15歳ぐらいの身長とか...ないよな。でも貧困街に居たからかもな。それともこの異世界人の体の特徴かな?

答えが見つからなさそうなのでこの件は保留だな。


それと、死神と神の加護か。恐らく加護があるなら、祝福とありそうだな。死神の祝福とか...不幸に見舞われそうな祝福だな。まあ、でも自称ゴッドとあの死神さんは、そんな酷い事しそうにないから悪い影響はない...と思う。


あ!後我眼とか言うスキルがあったな。早速使ってみよう。予想が正しければステータスとかが見えるかも!


”我眼”


ーーーーーーーーーーー

説明はご必要でしょうか?

ーーーーーーーーーーー


Yes!


ーーーーーーーーーーー

表示説明


名前  性別  年齢  調子 状況


身分 


立ち位置


STR(力)

VIT(体力)

ATK(攻撃力)

DEF(防御力)

AGI(素早さ)

INT(賢さ)

DEX(器用さ)

LUC(運)

MATK(魔法攻撃力)

MDEF(魔法防御力)


スキル


技能


称号


その他

才能

ーーーーーーーーーーー


成程分かった。てかロールプレイングゲームのステータスとなんら変わらんな。突っ込みどころ満載だけど、改めて”我眼”


ーーーーーーーーーーー


エルダ(斎藤末路) 男 5歳 好調 情報整理中


令嬢の付き人(仮)


大人っぽい子供


STR7.7

VIT7.7

ATK7.7

DEF7.7

AGI7.7

INT7.7

DEX7.7

LUC7.7

MATK7.7

MDEF 7.7

 

スキル


神聖級成長速度上昇 我眼

賢者級基礎能力上昇

架空神級神・付与魔法ゴッドエンチャント 連立魔法陣式展開


技能


称号

ラッキーセブン


その他

死神の加護 神の御加護

才能

短剣 弓 大鎌 付与魔法 ...etc


ーーーーーーーーーーー


...弱いのか?いや、確かに普通の5歳児と比べたら強いかもしれないけど、7.7ってネタなの?絶対ネタだよなぁ。てか小数点とかあるのか。

ホント突っ込みどころ満載だな。

才能に4つしか書かれていないのエトセトラってなんだ、隠れた才能が今解き放たれた!的な用途の類なのだろうか?


「——ダ」


そしてその他に神様の加護入れるとか絶対罰当たるだろ。まぁ、俺は罰とか関係なく殺されたけれど。hahahahahaha。


「——ダ!」


ご令嬢の付き人(仮)って、就いてないから未定とかでいいじゃん。

後、知らないスキルが混ざってるな。連立魔法陣式展開?神・付与魔法ゴッドエンチャントと同じ架空神級クラスだから強いのかな。

てかさっき連立魔法陣難しいから触れない様にしようとしてたのに早速触れるのかぁ。


「エルダ!」


頬に痛みが走る。

どうやらソイラに殴られてしまったようだ。

痛い。


「おはよう」


「あ、うん。おはよ」


「...........」


「...........」


「どうしたの?」


「名前読んだのにこっち向いてくれなかったから...」


下向きに申し訳なさそうなトーンで言い訳する。そして若干の上目遣い。なにこれあざとい。


「だから殴ったの?」


「殴ってない!平手打ちだもん!」


いや、どーちらも暴力ではありませんか。


「そ、そこですか」


「大事なことだよ!」


「あ、うん。そうだよね」


終わりそうにないので肯定しておく。


「大事なことだよ!」


「...なんで同じこと二回言ったの?」


「分かってなさそうだったから...」


また、上目遣いで言う。意識してやっているのだろうか。

考えたような顔をして「分かった」と言う。


「ほんと?」


「いや、だから、あざと...うん。ホント」


口に出してしまったが理解できていないっぽいのでスルーしよ。

ホント無意識でやっているのだろうか。


「...雨降って来たね」


「そだね」


ぽつ、ぽつ、と雨粒が馬車に当たる音が聞こえる。


「雨降って来たぞ!飛ばすから捕まっとけよ!」


おっさんの声と同時に馬車が速度を上げる。急に速度が上がったのでソイラが倒れそうになったので、直ぐ手を伸ばし支える。


「...ありがと」


少し頬を赤くしながらお礼の言葉を述べる。


本当にあざといなぁ。この子

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