すれ違い 引かれ愛 すれ違う
次の日から、美恵は将に対して冷たくなっていった。将が話しかけると無言で逃げ、避ける。将にはそれが心苦しかった
「おい、将。最近永田となんだかうまくいってないようじゃないか?」
「ヒロト……そうなんだよ」
親友のヒロトがそう聞く。だが、将は何もわからない。だが、最近美恵が自分を避けているのは分かる。解決策はないものかと将は悩み、机に突っ伏す
「ふわぁー。なんでうまくいかないんだよ…」
「なにが?」
不意に声がした
「わぁっ!な………」
将は驚きながら彼女の方へ振り向く
「な………永田さん!?」
「ふふふっ♪」
将の背後で美恵が不適に微笑んでいた
「あの……永田さん。この前は……」
「ううん。いいの。あれは私も……」
場所を移動し、階段へ来た二人はお互い顔をあまり見合わさず会話を続けている。たまに視線が合うが、お互い顔をそらしてしまうのだ
「あのさ………私、あのあと考えたんだ…」
「………………」
将は無言で美恵の言葉を待つ
「なんで、あんなことしたんだろって」
「だけどさ、あんまり嫌じゃなかったんだ」
「むしろ、結構ドキドキしたっていうか……」
美恵は取り繕うように話続ける
「それで…………一緒にいたいと思えた」
「………………………」
美恵の口から発せられた一言。その言葉に将は目を見開き反応する
「それってさ、どうゆうことなの?」
「えっとね………だから………」
言葉を濁す、美恵。なかなか先を言おうとしない
「………………やっぱ、なんでもない!」
そういって、にかっとほほえんだ。太陽の光が美恵に被る。黒くなる美恵の顔。それを見て、将はなんとも言えない動揺に襲われた
「じゃあ…………教室に戻ろうか」
すくっと立ちその場を離れる美恵。後ろからその背中を見つめる将。いま立ち上がれば美恵に追い付るだろうが、黙って見ま__
「待って!」
ぱしっと、腕をつかむ将。立ち上がり走ってきたせいか、ちょっと息が荒くなっていた
「なに?」
「あのさ、……この際だからはっきり言うけど……」
「……………」
そう言って将は美恵の腕を離す。黙ってこっちへ向き直る美恵
「……………やっぱり、なんでもない」
目を見開き硬直する美恵を片目に将は歩き出す
将の手は、震えていた__
「………………!?!?」
一人その場に残された美恵は自分がなにをされたか理解し、そしてなにを思ったか理解した。その瞬間、なんとも言えない羞恥が美恵を取り巻いた。顔が赤く染まる。茫然とする
「あ、あれ?…………………」
その場に座り込み顔を押さえる
「どうしちゃったんだろ…私………」
将は校舎内をとにかく走り出した。息が切れ切れになろうとも、足がもたつこうも、先生に注意されようとも、とにかく走り続けた
「はあっ………はあっ…は、はあっ……」
校門で立ち止まる
「あっ…………授業……戻らなきゃ…」
ひどく曖昧な気持ちになった
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