第2話
昨日、俺こと天城王子は生まれて初めてオトせない女に出会った。
いかにもギャルのような出で立ちの彼女の事は放課後、生徒会ネットワークで調べ尽くした。
山中美恵(やまなか みえ)
1年生だ。
校外学習をきっかけに、最近は根暗な奴らと仲がいいらしい。
昼食もその根暗な所謂オタクな奴等と食べているとの事。
こうなってくると、何故俺のイケメンオーラでオトせなかったのか益々不思議だ。
偶然か?
一度だけでは確証は得られない。今日も試してみよう。
今日は彼女の教室前、廊下で待ち伏せ。少し人の目に触れるところで壁に寄りかかって彼女が登校するのを待つ。
予鈴が鳴る数分前、彼女はやってきた。
俺は周囲にできていた女子集りをかき分け彼女、山中美恵へと近づく。
「やぁ、昨日ぶりだね。」
軽く壁に手をつき、距離を縮める。
「あー先輩、おはようございまっす」
彼女は間抜けな返事をよこしてくれる。
そんなヘラヘラ笑っていられるのもいつまでかな?
俺は右手で彼女の肩をそっと抱くと左手を彼女の顎に添えた。
喰らえ、これが顎クイだ!
「今日のお昼、俺と一緒に食べるよね?」
おっと少しイジワルな言い方をしてしまったかな。
周囲からはやはり黄色い歓声が上がる。
さあ美恵、お前も黄色い歓声を上げろ!
「あー、パイセンったらそんなに一緒に食べたいの?仕方ないなー、みんなで一緒にたべますか!」
はい?
一瞬聞き間違いかと困惑した。
はぁ、そうですか。
どうやら本当にこの女は俺ではおとせないらしい。
オタクな俺に彼女なんかできるわけない! CHIーbee @noob
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