第3輪 線香花火

 いよいよ待ちに待ったKとのデートの日。


 ちょうど大学主催の流しそうめんがあるので、それに行ってから、地下施設と星空鑑賞スポットに行くことになった。いきなり二人で密閉空間だと、打ち解けにくそうなので、大学に感謝しまくった。


 流しそうめんの場所は大学敷地内の森の中。防虫スプレーをいっぱいかけて、自転車を走らせた。

 Kから少し遅れるとの連絡が入ったので、他の知り合いと雑談をして、じれったい気持ちを紛らわせた。

 なんかイケメンがいる!と思ったら、留学生同士のWだった。長身でクールな顔立ち、実に目の保養だと思いながら世間話をした。


 ようやくKが来た。

 いかにも工学系男子らしい、ボーダーのシャツを着ている彼が、遅れたお詫びを述べたら、ちょうど流しそうめんも始まった。

 Kにリードされ、いいポジションをゲットしたものの、反応神経も遅い私はなかなかそうめんを取れなかった。落ち込んでいたら、Kは自分のを分けてくれた。正直、麺類はあまり好きではないが、その時のそうめんは甘酸っぱくておいしかった。


 流しそうめんのあとはなんと花火も用意されていた。

 カメラを持ったKに、線香花火でなんか模様描いてと言われた。Kのことで頭がいっぱいだったので、鏡文字で「K」と描いてしまった。出来上がった画像を見ると、なんと線香花火の軌道が綺麗に写っていた。「バルブ撮影」なるものを知った。歩くウィキペディアのようで、かつ丁寧にわかりやすくいろいろ教えてくれるKのことが、一層輝いて見えた。


 その輝きが、永遠たらんことを願った。

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