第5話 まっしろしろすけでておいで
20××年 12月30日 AM9:25 静岡県庁災害対策支部
餅柱の発生と、富士の樹海での攻撃的餅柱との戦いから六日が経過した。
あの戦いの後、餅が蓋をしていた地下室から尾庄克朗の研究とその目的が判明し、この災害の指揮は静岡県から国へと移された。
尾庄克朗が目指していたもの。
それは、餅と人を合わせた新しい生命体を作り出す事と、その生命体による全人類の抹殺。そして、この星さえも飲み込み地球を餅とする事である。
そのための一環として、あの餅柱は駿河湾を目指しているらしい。
駿河湾の海溝からマントルを目指すそうだ。
馬鹿げている。
本当に馬鹿げている研究だ。
しかし、その成果があの餅柱だ。
だが、静岡県庁災害対策支部の支部長となった能美子は、その報告を信じてはいなかった。
いや、正しくは少し違う。
尾庄克朗の目的はそうなのかもしれないが、あの餅柱はそれを望んでいない。そう感じているのだ。
「おねえちゃん……本当にあなたなの………?」
災害対策本部から災害対策支部へと変更された室内の支部長席で、ぽつりと言葉を漏らす能美子。
支部内は静岡県中の人間を疎開させるための手続きで喧々囂々としており、その呟きに反応する者は居なかった。
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