第686話関白殿、二月二十一日に(41)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
女房たちは、法会に出席したままの色鮮やかな、全くこの場に合わない晴れ着姿で、寒さゆえに姿を見せない従者たちに腹を立てて文句を言っているのですが、どうにもなりません。
翌朝早く、従者が顔を見せたので、
「なぜ、様子を察することができないの?」
と言うのですが、従者の側からも説明を聞かされました。
法会の翌日は、雨となりました。
関白様は
「天候のめぐりあわせが素晴らしい、これが私の天命なのです、どのように思われますか」
と、中宮様に申し上げておられます。
そのような関白様の得意満面なご様子も無理からぬことでありました。
ただしかし、その当時に素晴らしいと感激した様々な御事を、現在の御様子と比べてみるとすると、とても全てが同じと申すことはできません。
それを思い、気が滅入ってしまうこともあり、多くの事をここに全て書き記したのです。
清少納言先生:はい、長々、お疲れ様でした。
舞夢 :時代は道長様のものとなり、難しくなってしまったのですね。
清少納言先生:その通りです。残念ながら。
舞夢 :それでも、素晴らしい法会の様子を書き残してくれて、私たち後世に生まれた者には、かけがえのない財産なのです。
清少納言先生:それを思って書いたのです。感じてくれて、ありがたい。
※清少納言先生は、寂しさと喜びの混じる、複雑な表情となった。
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