第673話関白殿、二月二十一日に(28)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


早く中宮様がお出ましになればと思いお待ち申し上げているので、実に待つ時間を長く感じます。

何をなさっておいでなのか、待ち遠しく感じていると、ようやく、采女八人を馬に乗せて門から引き出しています。

青裾濃の裳、裙帯、領巾等が風に吹きながされ、とてもきれいです。

その中で、豊前という采女は、典薬頭重雅の愛人。

葡萄染めの織物の指貫をはいているので、山の井大納言様が、

「重雅は禁色を使うことが許されたのだろう」

と笑っておられます。

さて、采女たちが全員、大騒ぎで続いて出発すると、今度こそ中宮様の御輿がお出ましになられます。

素晴らしいと拝見した女院様のご様子を見た後でしたが、中宮様のご様子は比較にならない程、素晴らしいのです。


清少納言先生:はい、そこまで。。

舞夢    :豊前の葡萄染めの指貫は禁色なのですか?

清少納言先生:紅の強い紫色の染めたもので、本来は典薬頭の地位では許されないのですが、そもそも采女がはいている指貫、山の井大納言様が「愛人」がらみであてこすったのです。


※関白殿、二月に二十一日に(29)に続く。

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