第671話関白殿、二月二十一日に(26)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


女院様の御車を含めて15台となりました。

そのうちは、尼の車が4台、先頭の女院様の御車は唐車です。

尼車は、車の後部の出入り口から水晶の数珠や薄墨色の裳、袈裟、衣などが大変素晴らしく見えます。

簾は上げてはいなくて、添え重ねた垂絹は薄紫、裾を少し濃い目に染めてあります。

次に続くのは、女房たちの車が10台。

桜襲の唐衣に薄紫色の裳、濃い紅の衣、香染や薄紫色の表着などが格別に新鮮で上品なのです。

空は本当にうららか、青いのですが、一面に霞がかかっています。

このような季節柄で、女房たちの装束も明るく映え合い、豪華な織物や色鮮やかな唐衣を身に着けているのにも増して、明るくて新鮮な雰囲気が、限りなく心を魅かれるのです。


※関白殿、二月二十一日に(27)に続く。

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