第668話関白殿、二月二十一日に(23)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


さて、用意されたお車の左右には、大納言伊周様と三位中将の隆家様の御二方がおられ、簾を掲げ、簾に重ねられた垂絹を引き上げて、私たち女房をお乗せになられます。

何人も一緒に乗り込むのであるならば、多少は姿を隠すこともできるのでしょうか。

しかし、そうではなく、一台に四人ずつ、用意されていた名簿の順番で「誰様、誰様」と名前を呼ばれてからお乗せになるので、皆様に見られてしまう場所まで歩いてく時の気持ちなど、全く予想もしていなかったので「これでは丸見え」などという言い方までが、月並みなものとなるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :それは事前に知っておかないと、緊張しますね。

清少納言先生:事前に知っていたとしても、見ておられる方々といい、その前の大納言様と三位様といい、格上も格上。

舞夢    :それに加えて、同僚の女房様方も。

清少納言先生:粗相でもしたら、どれほど恥ずかしいことか、たかが歩くだけですが。



※関白殿、二月二十一日に(24)に続く。

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