第646話関白殿、二月二十一日に(1)

清少納言先生:今日から関白道隆殿の一切供養に関わるお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


関白道隆殿が、二月二十一日に、法興院の積善寺という御堂で、一切経を奉納する供養を営まれるということになり、女院様もご参列の予定なので、二月の最初に中宮様が二条院にお出ましになられたことがありました。

私(清少納言)も、お供をしたのですが、眠気を催してしまい、ご到着前後については、何も注意をして見ておりませんでした。

翌朝となりまして、日がうららかに昇る頃に起床しましたところ、この二条院はまだ白木も新しく、心が魅了されるような造り方なのです。

御簾はもちろんのこと、帳なども昨日掛けたと思われるほど。

置かれている御道具類も、全くの新品。

御帳の前に置かれている唐獅子や狛犬など、何時の間に入り込んだのでしょうかと、そんな準備をなされた人のお気持ちにも、心を魅かれるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :まず、関白道隆殿は中宮定子様のお父上、女院は円融院の后にて一条院の母上。

清少納言先生:はい、その通り。二条の宮は道隆殿が娘の中宮定子様のご退出に備えて、二条の自分のお屋敷に隣接して造営なされたもの。

舞夢    :唐獅子と狛犬の設置については?

清少納言先生:両方とも、邪鬼を払うために、帝と后の前に左右一対に設置します。


※関白殿、二月二十一日に(2)に続く。

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