第647話関白殿、二月二十一日に(2)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


一丈ぐらいの高さの桜が満開の状態で、御階の傍らに置かれているので

「何とも早咲きの桜だなあ、今の時期は梅が盛りのはずなのに」

と思って、しっかりと見ると、その桜は何と造花でありました。

全てがしっかりと明るく咲いている花の様子などは、本物に全く見劣りがしません。一体、どれくらいの手間暇がかかったことでしょうか。

それでも、雨が降れば凋んでしまうと思うと、残念に思われます。

そもそも、ここの界隈は小家と言われるような建物が密集していた所を、最近造営なされたので、植えられた木立も、新しいお屋敷に見合うような立派なものはありません。

それでも、ただ、この二条院が持つ雰囲気には親近感がありまして、心も魅かれるのです。



※関白殿、二月二十一日に(3)に続く

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