第643話御前にて人々とも(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


そんなことがあった二日後に、赤衣を着た男性が畳を持って来ました。

「これをどうぞ」と言っています。

下仕えの女が

「どちら様でしょうか、中身が丸見えになっていますよ」

と、つっけんどんに対応するので、その男性は、そのまま置いて帰ってしまいました。

私(清少納言)としては気になったので、

「誰からのお使いなのでしょうか」と尋ねさせるけれど、

「帰ってしまいましたよ」と言われるだけ。

しかたなく、それを取り入れてみると、ことさらに御座という畳のように拵えてあって、高麗縁などがとても美しく見事です。

察するに、中宮様からのお使いであることには間違いがないと思うのですが、やはり確信までには至らないので、召使いの者を使って、その赤衣の男性を探させたけれど、行方がわかりませんでした。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :赤衣は狩衣でしょうか。

清少納言先生:はい、貴族に仕える者ですとか、検非違使が着ます。

舞夢    :以前、中宮様と、高麗縁の話になりましたね。

清少納言先生:それで、このお使いは中宮様からと、判断をしたのです。

舞夢    :気になるものを置いて、さっと帰ってしまう、それも御指示なのでしょうか。

清少納言先生:それも、おそらくね、気をもませたいと・・・


※清少納言と中宮定子の駆け引きも、なかなか面白い。清少納言は中宮定子が好きで仕方がなかったと思う。


※御前にて人々とも(5)に続く。

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