第629話十月十余日の

清少納言先生:今日は十月中旬の月の明るい夜の時のお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


十月十日過ぎの頃、月が素晴らしく明るい夜なので、お散歩をしようということになり、女房たちが十五、六人ほど、全員が濃い紫の表の衣を着けて裾の端を折っていた時に、中納言の君が紅の糊がしっかりきいたものを着て、髪の毛を首の所から前に回していたのが、何とも惜しく思いました。

ほとんど卒塔婆のような感じでしょうか。

その姿を見て、若い女房たちは「雛のすけ」と、あだ名をつけてしまいました。

そして、中納言の君の後ろに立って、笑っているのですが、当人は全く気づきません。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :卒塔婆とは、そうとう細身のお方なのですか?

清少納言先生:その通り、笑うのも可哀そうですが。

舞夢    :少し変わったことをすると、ますます目立つのですね。

清少納言先生:髪そのものは、素晴らしいのですが。



※なかなか、女房仲間の世界も面白い。

 現代のOL仲間の会話と変わらないかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る