第548話見物は(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


祭の還さには、格別の風情があります。

昨日の行事は、全てがしっかりと整えられ、一条王路も広々と清らかな様子でありましたし、その上日の光も強く暑く、牛車に入り込んでくるのも眩くて、扇で顔を隠して日を避けて座り直したほどでした。

また長い時間待つのも難行でして、汗もかいてしまったけれど、今日になると、かなり朝早く忙しく出発します。

行程の雲林院や知足院などの傍らに立ち並ぶ牛車のあちらこちらに、葵がつけられていて、桂も風になびいているのが、また素晴らしいのです。

日は高くなっていくけれど、空はまだ少し曇っています。

そんな時に、絶対に何としてでも、一声であってもその声を聞きたくて目を覚まして起きて座って心待ちにしている郭公なのですが、一声どころではないのです。

一羽だけでなくて、何羽もいるのかと思うほど、鳴きとよむのは、格別に素晴らしいと思うのです。

ところが、そんな折に、鷺の年をとったような鳴き声です。

おそらく、郭公の真似をしようと、猛々しい声で鳴き合わせるのですが、気に入らなくもあり、それでも、面白いことでもあります。


※見物は(7)に続く。

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