第513話風は

清少納言先生:今日は風についてのお話です。

舞夢    :了解しました。


風は、まず嵐。

晩春三月頃の夕暮れ時に、ゆるゆると吹いてくる雨風。

八月から九月頃の雨まじりで吹く風は、格別に風情を感じる。

雨脚が横なぐりになるほど激しい時、夏の間ずっと着ていた綿入れの着物で、何かに掛けてあるのを、生絹の単衣に重ねて着るのも、格別に興がある。

そもそも生絹でさえ、暑い日々には窮屈で取り捨ててしまいたかったほどなのに、いつの間にかこれほど涼しくなったのかと思うと、本当に面白い。

暁に格子や妻戸を開けると、強い風がさっと顔にあたるのは、とてもここちよい。

九月の終わり頃や十月の頃に、空が暗くなって風が激しく吹いて、たくさんの黄色くなった木の葉が、ほろほろとこぼれ落ちるのは、とても風情がある。

桜の葉と椋の葉は、とにかく早く落ちる。

十月頃、木立の多く生えているところの庭は、とにかく素晴らしい。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :これは、何も言うところがありません、とにかくよくわかります。

清少納言先生:ただ空気が動いて風が吹くだけではなくて、時により、素晴らしい風情を感じるのです。

舞夢    :確かに、その通りです。


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