第489話宮にはじめて参りたる頃(12)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


伊周様お一人についてだけでも、このように緊張してしまうのに、もう一人また前駆に先を追わせながら、同じように直衣を着た人が、中宮様の御前に参上なされました。

今度のお方は、伊周様よりはもう少し明るい雰囲気です。

軽口などをおっしゃられるのを、女房たちは笑うし面白がるし、私も、誰がどのようであったのかなど、殿上人の噂話を申し上げているのを聞いていると、やはりこの人たちは神仏の化身なのか、あるいは天人が地上に舞い降りてきたのかと思われたのです。

ただ、そんなお勤めにも馴れてきて、数日過ごしてみると、そこまで神経を使うようなことでもなかったのです。

私が、素晴らしいと思って見ていた女房たちも、実はそれぞれの里邸から仕えはじめたころには、私と同じように感じただろうと理解してくると、自然に平気になってきたようです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :最初の頃は、カルチャーショックで、少しずつ馴れたということですね。

清少納言先生:急に、身分の高い人々の中に入ると、そうなります。


宮にはじめて参りたる頃(13)に続く。

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