第488話宮にはじめて参りたる頃(11)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
中宮様は、伊周様がずっと私の前に座っておられるのを見かけたからなのでしょうか、伊周様の気づかいがなくて私が困っているともお察しになられたのでしょう、
伊周様にお声をかけられます。
「これをご覧になられて、どなたの筆跡なのでしょうか」
とおっしゃられると
伊周様は
「こちらへいただきたいと、こちらで見たいのです」
と申し上げなさります。
中宮様は、それでも
「いや、やはり私のところで」
と仰せになられます。
伊周様は
「この清少納言が、私をつかまえて立たさないのです」
とおっしゃられるのですが、その様子がとても、艶々として、私もそろそろ若い身ではないので、とてもいたたまれません。
誰かが草仮名で書いた草子のようなものを手にとって、ご覧になっています。
伊周様
「誰の筆跡かなあ、あの清少納言にお見せになったほうがいいかな、彼女なら、この世間の全ての人の筆跡をご存知と思いますよ」
などと言って、どうしても私に答えさせようとして、考えられないようなことばかりを、おっしゃられるのです。
清少納言先生:はい、そこまで。
舞夢 :これは、かなり気に入られたようですね。
清少納言先生:はじめての頃だしね、もうドキドキしてしまって。
舞夢 :中宮様のお気遣いもありがたいですね。
清少納言先生:それがなかったら、本当に困りました。
宮にはじめて参りたる頃(12)に続く。
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