第395話清げなる男の

清少納言先生:今日は、双六の話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


涼やかな男の人が、一日中双六で遊んでいたのですが、まだ遊び足りないようです。

背丈の低い灯台に火を灯して、しっかりと明るく灯芯をかき上げ、相手に都合のよい目が出るように、賽に向かって祈ったりします。

筒に賽をすぐには入れないので、涼やかな男の人のほうが、筒を双六の盤の上に立てて待ちます。

すると、狩衣の襟が顔に触れてしまうので、襟を片手で押し込んで、糊気がなくなってしまった烏帽子を冠ったまま、顎をしゃくりあげて

「賽に向かって懸命に呪いをかけたところで、私は双六では負けませんよ」

と、待ち遠しそうに盤の上を見ている姿は、得意そうに見えてきます。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :際に呪いをするんですね。

清少納言先生:遊びですが、必死です。

舞夢    :それにしても、一日中双六というのも。

清少納言先生:暇と言えば暇ですね。


ただ、そういう遊びの付き合いも、狭い宮廷社会では大切なこと。

その上手下手で、出世も変わってくるのだから。

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