第392話正月十余日のほど(1)

清少納言先生:今日から正月十余日のほどに入ります。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


正月の十日を過ぎた頃、空が本当に暗く、厚い雲におおわれているのですが、それでもなお、春らしい日の光がしっかりと雲間から射し始めています。

身分としては低い者の家で、冬の間は荒らしてあったようで、畝も崩れていて真っ直ぐになっていない畑があります。

その中に、桃の木があって、若枝が本当にたくさん伸びていて、その一方は本当に濃い緑、もう一方は日差しを受けて濃い色になった上に、艶々とした蘇芳色に見えます。

その枝をつたって、大変細くて綺麗な髪をした男の子が、狩衣も破いてしまいながらも、のぼっていきます。

すると、また紅梅色とか白い着物を尻端折りした男の子や、膝を丸出しにして靴を半分履いただけの男の子たちが、その桃の木の下に立って

「僕達に毬を打てるような杖になる木を切ってほしい」など頼んでいます。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :なかなか可愛らしい様子ですね。

清少納言先生:子供の遊びですが、無邪気でいいですね。

舞夢    :狩衣が途中で枝にひっかけて破けても、のぼるのはやめないのですね。

清少納言先生:そうですね、それが子供らしさですね。


正月十余日のほど(2)に続く。


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