第391話殿などのおはしまさで後(12)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


負けてしまった方が

「こんな誰でも知っているやさしい謎を出されて負けになるとは、合点がまったくできません、天に張り弓を知らない人など誰もいません、まさか負け点をあたえられるなどはないでしょう」

と文句を言うのですが、こちら方では二番手、三番手まで応援して

「『知りません』と、冗談でも一度言ってしまったからには、負け点にならない理由はありません」と、言い負かしてしまいました。

中宮様は

「誰でもよく知っている事や歌であっても、思い出せない時は、そういうものです。

そんなことを言うのなら、なぜ『知りません』などと口に出したのですか」

「『知りません』と言ってしまった人は、後になって仲間から相当な嘆きや不満を買ってしまいました」

と言われますと、お側にいた女房たちが

「まあ、それも当然でしょうね、本当に悔やまれる発言をしたものです」

「左方の人も、最初に『天に張り弓』と聞いた時は、どれほどその人のことを悔しく思ったのでしょうか」と笑っています。

さて、このお話は、忘れているということは、ど忘れをしている場合があるという例え話としてのことでした。


清少納言先生;はい、お疲れ様でした。

舞夢    :中宮様のやさしさですね。

清少納言先生:道長様に通じているとかの話とか、様々中宮様に取って心を痛める事件が相次いでいたけれど、私をかばってくれました。

舞夢    :ど忘れの話を、上手にフォローですね。

清少納言先生:あまり簡単すぎても、忘れることもあるのです。


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