第353話故殿の御ために、月ごとの十日(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


斉信様は

「何故でしょうか、恋人に対してこそ、並の関係の人よりも増して褒めちぎるような人が多いのに」

とおっしゃいましたので

私(清少納言)は

「確かにそういうこともあるのですが、それが恋人を慕うばかりの好ましい振る舞いと思えば、良いことになるのでしょう」

「それでも、男にしろ、女にしろ、親しい人を大事に思いすぎて、不自然に褒め過ぎてしまう、あるいは他人から少しでも悪口を聞いたりすると、機嫌を悪くするようなこともありまして、私にとっては、そういうことががっかりしてしまうのです」

と応えたのですが

斉信様は

「それは、不安なお考えですね」

と、おっしゃられたことが、実に興味深かったのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :先生の恋愛論ですね。

清少納言先生:そうですね、盲目的な関係はどうかなあとね。

舞夢    :盲目的でないほうが、長持ちするかもしれません。


「ひいき」と恋愛は別、そんな恋愛論だろうか。

恋愛と結婚もまた、別物である。

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