第338話関白殿、黒戸より出させ給ふとて(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


山の井の大納言藤原道頼様やそれに続く身分ですが、御血縁でもない方々が橡色の袍をまとっているのですが。その様子は何やら黒いものを周囲一帯に撒き散らしたかのようです。それは藤壺の塀の橋から登花殿の前までつながっています。

関白殿は、ほっそりとしていて本当に若々しい雰囲気で、御佩刀を整え直してたたずんでおられます。

さて、宮の大夫道長殿は戸の前にお立ちになっておられたので、まさかひざまずかれるなどとはないと思っていたのですが、関白殿が少しお歩きになられると、すっとおひざまずきになられました。

やはり、関白殿は前世での修行がいかほどであったのか、それが現世にて、これほどの素晴らしい栄光となっているのだと感じ、この一件を拝見して、この上なく思うのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :お歴々の中で、道長様は中宮職の長官なのですね。

清少納言先生:はい、その後のことはご存知と思います。

舞夢    :ひざまずく時は、すっとこなすんですね。

清少納言先生:如才がない方です。それは当然のように。


清少納言と道長、歴史に残る人同士の関係、なかなか興味がある。

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