第314話正月に寺にこもりたるは(7)

そろそろ、日が暮れる頃になりました。

これからの参詣なのか、小坊主が持ち運びが普通の人では難しい背の高い屏風を、本当に器用に運び、畳などを置いてすぐに部屋に屏風を立てます。

犬防には簾をすっとかけて、お籠りのための囲い部屋を作るのですが、本当に手慣れたものです。簡単に作ってしまいます。

衣擦れの音をザワザワと立てて、たくさんの人が下りてきました。

その中でも、年配の人が、品のある声で周囲に配慮をしながら、おそらく屋敷に戻る人に対して「心配であること、火の用心のこと」などを言い渡しているようです。

七、八歳ぐらいの男の子ですが、愛らしい声ですが、口ぶりは大人びて家来の男たちを呼びつけて、様々指図をするのも、おかしな様子です。

また、三歳くらいの幼児でしょうか、眠そうな顔で咳をしている様子も、すごく可愛らしい。

その子が、乳母や母の名前を呼んでいるので、もう少し詳しく知りたくなるのです。

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